あなたが苦しんでいるのは、体の傷ですか。
それとも、心の傷ですか。
「体の傷」と「心の傷」。
どちらも傷ではありますが、残り方には違いがあります。
体の傷は、消したくても、一生残ることがあります。
もちろん小さな傷なら元どおりになりますが、大きくて深い傷となると、困難を要することがあります。
たとえば、深い傷や大きなやけどです。
人生では、不遇な事故によって、体に深い傷を負うことがあります。
深い傷も大きなやけども、時間が経てば、傷は癒えて目立たなくなります。
人間に備わった自己修復機能と新陳代謝によって、傷はだんだん回復しますが、100パーセント元どおりにはなりません。
新陳代謝や自己修復機能にも限界があります。
特に皮下組織まで及んでいる深刻な傷は、損傷が激しいため、自己修復機能の限界を超えています。
自己修復機能そのものが壊れているため、自己修復ができないのです。
美容整形や皮膚移植に頼っても、残念ながら、ある程度の傷跡が残ります。
どんな方法でも手術跡が残るため、傷跡を100パーセント元どおりにするのは難しい。
目立たなくすることはできても、完全に消すことは、現在の医学技術では不可能です。
体の傷は、消したくても、一生残ることがあるのです。
しかし、心の傷は違います。
心の傷は「完全修復が可能」という特徴があります。
人には「忘れる」という能力があります。
人に傷つくことを言われてショックを受けても、時間が経つと忘れます。
恨みや憎しみが生まれても、許してしまえば、心の傷もなくなります。
本人さえ意識すれば、一瞬や短時間で傷が消えることもあります。
恋人から振られて失恋しても、治癒は可能です。
そのときは絶望を感じて涙が止まらなくても、完全修復は可能です。
時間が経つにつれて、だんだん悲しみから立ち直っていきます。
心の傷もゆっくり癒えます。
最終的には完全に立ち直り、けろりとしているでしょう。
あれほど悲しくて泣いていたにもかかわらず、当時の悲しい感情さえ思い出せなくなるほどです。
失恋が笑い話になっていることすらあります。
嫌なことは、忘れることでなくなります。
憎しみは、許すことで昇華されます。
失敗体験は、成功体験を重ねることで上書きができます。
たとえトラウマでも、修復は可能です。
正しい心理療法を根気よく続けていくことで、トラウマであっても消すことは可能です。
心の傷があっても、どうか諦めないでください。
「一生残る」と思ってはいけません。
「一生残る」と思って諦めると、本当に一生残ってしまいます。
心の傷は、大きくて深いものであっても、一生残るわけではありません。
大切なことは「諦めないこと」です。
忘れる、許す、時間に頼る、成功体験を重ねる、時には心理療法に頼る。
さまざまな方法を駆使すれば、どんな心の傷も、いつか消えます。
心の傷は、体の傷より長く残りやすい特徴があるものの、完全修復の可能性は、心の傷のほうがあります。
心の傷は、諦めなければ、いつか消えるのです。