古本屋で本を買ったとき、面白い体験をしました。
本といえば普通、本の香りがします。
本屋に入ったときは本の香りがして、嗅覚が刺激されます。
新刊からは、出来たばかりの本の香りがして、癒やされるものです。
ところが、その古本からは「いつもと違った香り」がすることに気づきました。
「何の香りだろう?」としばらく考え「これだ!」と気づきました。
石けんの香りがするのです。
本は、傷も書き込みもなくきれいな状態なのですが、石けんの香りだけはよく香ります。
しかもほのかに香るというより、なかなかしっかりした香りです。
少し離れていても感じられるくらい強いのです。
ここで、いろいろな想像が膨らみます。
「前にこの本を持っていた人は、どんな状況だったのだろうか?」
「石けん好きの人かもしれない」
「買い置きしていた石けんの隣に置いていたのかな?」
「石けんを入れた箱に入れていたのだろうか?」
「本を売るとき、ソープの香りのスプレーを拭きかけたのだろうか」
「もしや、石けんを作る仕事をしている人だったのだろうか?」
前の持ち主のことはまったく知りませんが、あまりに石けんの香りがするので、あれこれ想像も膨らんで面白いのです。
いろいろな物語が頭をよぎっては、くすっと笑ってしまいます。
こうした体験は、新品で本を買ったときにはできないことです。
まさか古本で、これほどまでに嗅覚を刺激されるとは思いませんでした。
「本は本の香りがするもの」と思われがちですが、古本に関しては、その常識が通用しません。
前の持ち主によっては、本からユニークな香りがすることもあります。
本は「読むもの」だけでなく「嗅ぐもの」なのかもしれません。
古本の面白さは、書き込みがあることだけではありません。
ユニークな香りがすることも、古本ならではの面白さの1つです。