日本近代洋画の父といえば、黒田清輝が有名です。
明治から大正にかけて活躍し、洋画団体「白馬会」を設立するなど、日本の洋画界の発展に大きく寄与した人物です。
代表作「読書」「湖畔」は、歴史の教科書に載っている名作です。
そんな黒田清輝ですが、実は最初から画家志望だったわけではありませんでした。
もともと法律家を志していました。
フランス語を勉強し、18歳のとき、本格的に法律を学ぶため、フランスに留学します。
ところがそこで思いもよらぬことが起こります。
彼にはもともと絵を描く趣味がありました。
勉強の合間に絵を描いて楽しんでいたのですが、あるときパリ在住の日本人洋画家の目に留まり、褒められたのです。
そして「法律家より画家になったほうが日本のためになる」と説得されます。
そこでなんと黒田は仲間の勧めを受け入れ、本当に画家へと転向したのです。
法律と美術はまったく畑違いです。
しかしそれでも黒田は仲間の勧めを素直に受け入れ、思い切って進路変更を決意したのです。
これが彼の素晴らしいところです。
わざわざ法律を学びにパリ留学をしている最中に進路を変えるのは重大なことであり、なかなかできることではありません。
法律家のほうが地位も収入もあり、将来が約束されています。
それまで投じた時間や資金は多くありましたが、それでも仲間の勧めを受け入れたのです。
黒田はフランスの画家ラファエル・コランに弟子入りし、画家としての腕を磨きます。
その後、日本に帰国し、画家として活躍します。
趣味が才能へと発展していったのです。
そして生まれたのが「読書」「湖畔」などの名画です。
黒田の才能を見抜いた仲間たちも素晴らしいですが、素直に進路変更を受け入れた黒田も素晴らしいのです。
自分の才能は、意外と自分ではわからないものです。
自分では趣味程度と思っているので、見過ごされがちです。
自分の才能は、人から言われて気づきます。
人から褒められたとき「そんなことはありません」と否定するのではなく「たしかにそうだ!」と素直に受け入れることが大切です。
人の勧めを素直に受け入れると、そこから新しい道が切り開かれます。
人から褒められるところに、才能があるのです。