以前、水口家の冷蔵庫を開けると、梅のにおいがするのが定番でした。
冷蔵庫の中に、大量の梅干しが詰め込まれた、一回り大きな箱があったからです。
なぜかというと、祖父と祖母は生前、梅干しを大量に消費していたからです。
いろいろなところで使っていました。
お茶漬けに入れたり、お茶に入れたり、お漬物に加えたりしていました。
さまざまな場面で梅干しを使っていたので、専用の箱が用意されていたのです。
祖父も祖母も「酸っぱい」が口癖でした。
その光景は、今でもよく覚えています。
しかも面白いことに、祖父も祖母も、梅干しを食べた後に残ったタネを、ガムの代わりにします。
硬いタネを、噛んでいるのです。
私にとって、お茶に梅干しを入れたり、ガムの代わりにしたりする様子は、不思議な光景でした。
「なぜ、梅干しをよく食べるのか」と尋ねたところ「健康にいいから」と言っていました。
その言葉のとおり、祖父も祖母も、めったに風邪を引かない人でした。
ほとんど記憶にありません。
私が大人になってから知ったのですが、この梅干しには、秘めたる力があります。
梅干しには、血液を弱アルカリ性にしてくれる働きがあります。
血液が弱酸性になることで、体全身の免疫力が向上します。
梅干しに含まれる「クエン酸」には、口の中に残ったタンパク質を分解する働きがあり、消臭や殺菌の効果があるのです。
昔から、お弁当の白いご飯の真ん中に、梅干しを入れていたのは、殺菌の効果があるからです。
なにより「酸っぱい」という刺激によって、だ液の分泌量が増えるのです。
大量のだ液によって口臭は抑えられるのはもちろん、消化もよく促します。
昔は、梅干しが薬の代わりとして使われていたといわれています。
祖母も祖父も、日頃から梅干しをよく口にしていたので、いつも元気に畑仕事をしていました。
息もすっきりしていました。
梅干しは、さまざまな場面に活用できます。
お茶漬けにも、お茶にも、お漬物にも合います。
食事を組み合わせることで、風味が豊かになることに加え、健康増進や口臭予防にもなるのです。
めったに風邪を引かない祖父と祖母が、梅干しの力を証明してくれています。