私が小学生や中学生のころ、最もよく見ていたテレビ番組は「水戸黄門」でした。
日本では大変有名な時代劇番組です。
黄門様と率いる仲間たちが、全国各地を行脚しながら、悪事を働く悪者を次から次へと懲らしめていく珍道中物語です。
小学生や中学生のころといえば、アニメを見たがる年ごろです。
しかし、私の場合、アニメよりはるかに水戸黄門ばかりを見ていました。
子どものころ、なぜそんな年配向けの番組を頻繁に見ていたのかというと、祖父や祖母の影響です。
小学生や中学生のころ、いつも学校から帰ると、真っ先に祖父・祖母の部屋へ向かっていました。
祖父や祖母はいつもお菓子をくれたため、学校から帰ると、いつも祖父母の部屋に行きました。
祖父・祖母の部屋のドアを開けると、いつも「水戸黄門」を見ている最中でした。
食い入るように釘付けになってみていた。
その光景は、今でもよく覚えています。
テレビのチャンネルを変えたくても、祖父や祖母がテレビに釘付けになっているので「チャンネルを変えたい」とも言い出せない。
仕方なく、毎日一緒に見るようになりました。
私の場合、そうした生活サイクルがあったため、アニメより水戸黄門のほうが、幼少期から見慣れています。
この水戸黄門シリーズは、土日を除いて、毎日夕方に放映されていました。
毎日、夕方ごろ学校から帰って、祖父・祖母と一緒に水戸黄門を見る。
そんな生活が、何年も続きました。
年配者向けに作られている番組ですから、子どもでもすぐ理解できるシンプルな内容です。
するとです。
子どもでも、見てわかります。
悪事を働く側より、人を助ける側のほうが、はるかにかっこいいことを。
黄門様と率いる仲間たちが、紳士的な対応をしながら悪事を働く悪党を手際よく懲らしめていく姿が、妙にかっこよかった。
「やっぱり正義は強いなあ」
「人を助ける人は、なんてかっこいいんだ」
「あんなふうになりたいなあ」
憧れを抱いていました。
テレビの向こうに、親とは別の手本を見つけました。
しかも、当時は毎日見ていましたから、知らず知らずのうちに、両親と同じくらい強い影響を受けていたと思います。
古臭い番組というのは、もはや関係ありません。
「あんなふうに紳士的な対応をしながら生きていきたいなあ」
私もいつしか、水戸黄門を見るのが楽しみになり、水戸黄門を見るために学校から走って帰っていました。
私は今、社会人になりましたが、いまだに潜在意識のどこかに「水戸黄門」の映像が流れているような気がします。
子どものときに毎日見ていたこともあり、どこか「土台」のような部分になっている気がするのです。