「子どもから尊敬されたい」
多くの親は、そう願うでしょう。
「親を尊敬しています」という言葉を子どもから聞きたいところですが、なかなかそうはいきません。
むしろ逆です。
たいてい「親は嫌いだ」と言います。
大変厳しいからです。
しかも、厳しいうえに、しつこい。
子どもは、まだ親の厳しさを理解できるほどの人生経験を積んでいません。
なぜ厳しさが必要なのかという本当の理由を、理解していません。
子どもがまだ10代のころは、一般的に厳しさを兼ね備えた親は、子どもから嫌われます。
それはもう大嫌いと言われることでしょう。
しかし、それでも教育やしつけのために、やはり「厳しさ」は必要です。
こういう意志が強くて物事に動じない親の態度は、子どもが10歳未満なら、まず理解されないことでしょう。
尊敬されるどころか嫌われます。
子どもから尊敬されるという願いは、今のところ、捨ててください。
今は尊敬されなくても、いずれ尊敬されるようになります。
子どもが人生経験を積むにつれ、ゆっくりですが「なぜあのとき親は厳しかったのか」を、理解してくれるようになります。
自分が学生になり、親から衣食住の面倒を見てもらっていることに気づき、次第に親は尊敬され始めます。
自分が結婚をして、子どもが生まれて親になったとき「親が厳しい理由はこういうことだったのか」とようやく体感します。
理解は、頭でするだけではまだ半分です。
本当の理解は、体感するときにわかります。
結婚して、子どもを産んで親になったとき、親が厳しかった意味をようやく理解できます。
すなわち「厳しさも、親からの愛の表現」ということに気づけます。
子どもから尊敬されるのは、そのときになってからです。
時間がかかるものです。
親も「苦労を理解されたい」「尊敬されたい」と思うでしょうが、今は諦めましょう。
子どもが親のことを嫌いだという発言に、いちいちむきにならないほうがいい。
「子どもだから仕方ないね」と思うくらいでいい。
親は大人ですから、いずれわかる日がくるまで、今は辛抱するときです。