「お母さん、あれ買って!」
デパートに出かけると、ときどき欲しいおもちゃを親に買ってもらうため、駄々をこねる子どもに出くわすことがあります。
たいていの親は「ダメです!」と言って、拒否します。
しかし、ここからです。
「お願い。買ってよ!」
大きな声で怒鳴ったり叫んだり、あげくには泣き始めてしまいます。
子どもの主張がしつこい場合、親も「仕方ないなあ」と心が折れそうになります。
ここで、親の対応が大きく2通りにわかれます。
「仕方ないわね。今回だけね」と言って、子どものわがままに応える親。
「この前、おもちゃを買ったばかりでしょう」と言って、子どもの要求をかたくなに拒む親です。
ここで子どもの成長が決まります。
一見すれば「仕方ないわね。今回だけね」と、子どもの要求に応えた親のほうが、優しくて思いやりがあるように思えます。
しかし、たいていの場合「今回だけね」では終わりません。
子どものわがままに応じれば、わがままは治るように見え、実は悪化します。
かわいい子どものためと思い、何でもかんでも要求に応じていると、子どもはだんだんわがままになります。
すると子どもは「そうか。しつこく駄々をこねれば、応じてくれるようになる」ということを覚えるようになります。
しかも、だんだん、わがままがエスカレートしてしまいます。
子どもへの愛情とは、甘やかすことではありません。
子どもの要求に応じる正当な理由があるかどうかが大切です。
「年に一度の誕生日だから、5,000円未満のおもちゃを1つだけ」という理由ならわかります。
せっかくの誕生日くらいは、わがままに応じてもいいでしょう。
しかし、特に理由もなく「しつこく要求されたから」という理由だけで、子どものわがままに応えるのは、子どもをダメにします。
人生には、欲しい物があっても、我慢しなければならないときがあります。
手持ちのものだけで、やりくりしなければならないときがあります。
そうした我慢や辛抱など、精神的な強さを鍛える機会です。
デパートで子どもがどんなに駄々をこねても、正当な理由がないかぎり、断固として拒否する姿勢が親には必要です。
冷たいように思えますが、これは子どもに対する愛情の一種なのです。