執筆者:水口貴博

子どもに礼儀と行儀をしつける30の方法

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子どもにとって、学生服を着ることほど難しいことはない。

子どもにとって、学生服を着ることほど難しいことはない。 | 子どもに礼儀と行儀をしつける30の方法

私は学生時代、毎朝、格闘していたことがあります。

「学生服を着ること」です。

時間がかかるので、学校に遅刻しそうになったこともあります。

なぜ、時間がかかるのか。

着るのが難しいからです。

「学生服を着るくらい、簡単だろう」

それは大人だから言えることです。

まだ手先が不器用な幼い時期にとって、学生服を着ることほど難しいことはありません。

難しい動作の連続です。

小学生くらいのときは、学生服を着るだけで、かなりの時間を費やしていました。

最初の難関は「靴下」でした。

靴下を足に通すとはいえ、上下があります。

足のかかとに靴下のかかとがそろうように、うまく足に通す必要があり、時間がかかります。

次に格闘したのは、ズボンをはいた後にしめる「ベルト」でした。

私は男なので、ベルトでズボンを締めます。

ベルトを腰に回すとき、前ならベルトを通す穴が見えますが、後ろは見えません。

そこで、自分の手の感触でベルトを通すべき穴の位置を確認し、うまくベルトを通す必要があり、時間がかかっていました。

続いての難関は「ワイシャツ」です。

たった1枚のワイシャツを着たいだけなのに、ボタンをたくさん留めなければいけません。

1枚のワイシャツに、6つくらいボタンがあります。

シャツの前中央にある小さな穴に通せるよう、ボタンを少し傾け、素早く押し込む動作が必要です。

傾き加減といい、力加減といい、手こずる。

ようやくボタンが留まったと思えば、次は「上着」。

またボタンの連続です。

「さあ、ようやく服が着られた。学校にいくぞ」

いえ、最後にもう1つ難関が待っています。

靴を履いたときに結ぶ「靴ひも」です。

豆結びはほどけなくなるので、器用にちょう結びをしなければなりません。

慣れない私は時間がかかっていました。

この苦労は、ほとんどの子どもが通る道です。

私だけではなく、おそらくあなたもそういう時期があったのではないでしょうか。

この難しさを、私たちは、大人になるにつれて忘れがちになります。

しかし、子どもにとってこれほど難しいことはありません。

学生服は、子どもにとって難しすぎる動作が多すぎます。

早い子どもなら、幼稚園くらいのころから、学生服を着始めることになるはずです。

親は、自分ができるからとはいえ「早くしなさい」「まだ着られないの」とせかしたり叱ったりしていないでしょうか。

「学生服を着るのは本当に難しい」

この初心を、もう一度、思い出しましょう。

まだ手先が十分に発達していない子どもにとって、これほど難しいことはありません。

子どもは、ゆっくり学生服を着ているのではありません。

ゆっくりでないと着られないのです。

朝から指の体操をしていると考えるといいでしょう。

「時間がかかっている」というより「時間をかけている」

そこでせかない親が、尊敬されます。

子どもに礼儀と行儀をしつける方法(18)
  • 学生服を着るのを、せかさないようにする。
子どもが心を開くかどうかは、親の聞き方しだい。

子どもに礼儀と行儀をしつける30の方法

  1. 幼いときに身につけた習慣は、大人になってからも変わりにくい。
  2. 「お行儀よくしましょう」という言い方では、子どもは行儀よく行動できない。
  3. 子どもに、礼儀や行儀を教えるなら、10歳までの時期が大切。
  4. 初めは、礼儀や行儀の理屈を抜きにしつけてもいい。
  5. そもそも礼儀や行儀は「頭」で覚えるのではなく「体」で覚えるもの。
  6. 子どもが100点や1等賞を取ったときも喜ぶ。
    取れなくても喜ぶ。
  7. 親が子どもから感謝されるのは、ずっと後になってから。
  8. ご近所から褒められた経験が、子どもの意識を変える。
  9. 正義のために生きるヒーロー番組は、子どもの礼儀や行儀に好影響を与える。
  10. 子どもが駄々をこねても気軽に応じないほど、精神的に強くなる。
  11. お金や物質などのご褒美を与えればいいわけではない。
    子どもが一番見たいのは、親が喜ぶ姿。
  12. 親が喜び上手なら、子どもは自然と努力をする。
  13. お小遣いを無条件に与えていると、子どもの金銭感覚は養われない。
  14. きちんとしたしつけのためには「優しさ」と「厳しさ」両方の教育方法が必要。
  15. 優しさと厳しさは、偏りすぎてはいけない。
    バランスが大切。
  16. 子どもから尊敬されるという願いは、今のところ、捨てておいたほうがいい。
  17. 子どもにプラス発想を教えるには、親がプラス発想をするだけでいい。
  18. 子どもにとって、学生服を着ることほど難しいことはない。
  19. 子どもが心を開くかどうかは、親の聞き方しだい。
  20. 無駄をしないのは、最も無駄。
  21. 挨拶をしないのは、れっきとした無視行為。
  22. 子どもの言葉に耳を傾ければ、自然と素直になる。
  23. 親は、子どもの勇気を出す手助けをするだけでいい。
  24. 成功であれ失敗であろうと、勇気を出して行動すれば、褒めることができる。
  25. 夫が仕事に精を出せば出すほど、発生しやすい矛盾点がある。
  26. 「親は何のために働いているのか」を、きちんと子どもに話す。
  27. 子どもが何かに熱中し始めたら、とことん熱中させてあげること。
  28. 親になった今だからこそ、マナー教室に通う価値がある。
  29. 親が子どもに対して礼儀がないと、子も親に対して礼儀がなくなる。
  30. しつけは「従順期」「反抗期」「反省期」の3段階を経る。

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