笑いのある家庭は、明るい家庭だとよく耳にします。
まったくそのとおりです。
明るいから笑うというより、笑うから明るくなれます。
笑うから明るい家庭になるわけですが、実はもう1つ、笑いには面白い力があります。
「不安を吹き飛ばしてくれる力」があるのです。
私が高校時代、体操部で練習をしていたあるとき、鉄棒からの着地で失敗して、胸の骨にひびが入ったことがありました。
私は「これは大変なことになった!」と焦り、家に帰って母親に見せて報告しました。
「ははは。あんた、とろくさいね。何しよったん」と、笑われてしまいました。
最初はちょっとむっとしましたが、だんだん不安が消えていきました。
笑われると、思ったより大したことがないように思えてくるのです。
落ち込んでいるときに「それくらいで落ち込まないの。ははは」と笑われると、元気になります。
案外、一番大げさに考えているのは、本人であったりします。
大げさな親は、子どもに何かあるたびに騒ぎます。
医者だの、病院だの、薬だの、時には「何てことをするの!」と、子どもにお説教までして、怒鳴ります。
こんなに騒がれると、子どもは余計に不安にならざるを得ないのです。
「そんなに大変なことになってしまったのかな? どうしよう。死んじゃうのかな」と不安になります。
少々のことでは、人は死にません。
子どもが不安になっているときには、親が笑ってあげることで、不安が吹き飛んでしまうのです。
できるだけ子どもから不安を取り払ってあげることが、親の務めです。
子どもの不安を取り払うのは、難しくはありません。
「ははは。大丈夫、大丈夫」と、笑い飛ばしてしまうだけで、子どもの不安も飛んでいってしまうのです。