子どもの礼儀や行儀のしつけは、どこか「車の運転」と似ている部分があります。
車の運転免許を取得したばかりのころは、あれこれと考えながらハンドルを握って運転します。
ほんの少し前に進むだけでもストレスで、車の運転が不安定です。
慣れていない動きのため、たどたどしくなります。
しかし、ある程度慣れてくると、一転して体が勝手に動き始めます。
以前よりストレスが小さな状態で、車を安全に運転できるようになります。
車の運転に慣れていれば、こうした不思議な経験を味わったことがあるでしょう。
口ではうまく説明できなくても「安全運転」なるものを体が覚えてしまうようになります。
礼儀や作法も、子どもが幼い時期に、何度も繰り返し実践します。
どのくらい繰り返すのかというと、勝手に体が動き始めるまでです。
素直に言うことを聞いてくれればいいですが、なかには「疲れる」「面倒だ」「嫌だ」と反発する子もいるでしょう。
最初、そう思うのは当然です。
車の運転と同じで、慣れていない時期はストレスが大きいです。
しかし、難しい理屈は抜きにして「ただそうするものだ」と教え続けてください。
できるまで、何度も繰り返します。
嫌がってもやらせます。
そのまま同じ行動を繰り返していると、次第に慣れて体が覚えます。
気づけば、脱いだ靴を揃えている。
気づけば、ご飯粒を1粒残さず食べる。
気づけば、食事が終わった食器を台所まで運んでいる。
考えなくても、そうすることが当たり前になります。
最初に感じていたはずのストレスがなくなっている上、体が勝手に動き始めます。
こうなればしめたものです。
理由ももちろん大切ですが、後回しでも十分間に合います。
最初は、体に覚えさせるまで徹底的に繰り返すこと。
子どもの体が慣れるまで、しばらくの間、親は辛抱しながら付き合ってあげましょう。