「料理中に包丁で手を切ったことがあります」と友人が告白しました。
ふと、自分にも同じ経験があることを思い出しました。
そのとき「自分も経験がある」と言おうかどうしようかと、迷う瞬間があります。
自分にも同じ失敗経験があると答えてしまうと、自分も相手と同じレベルということになります。
特に失敗談ほど、言いたくない気持ちが強くなります。
自分もばかだと思われてしまうからです。
かっこつけたい人は往々にして、ここで自分も同じ失敗経験があっても隠そうとします。
しかし、そういう共通体験があるときは、どんどん口にしたほうがいい。
「私も同じ経験があるよ」と言えば、友人は心から救われます。
「自分だけではなかったのか。あなたも同じなのね」と安心します。
そのときに心が通じ合い、仲間意識がさらに芽生えます。
共通の体験があると、意見や感情も共有しやすくなり、さらに親しくなれます。
コミュニケーションの達人ほど「私も同じ経験がある」と言います。
いろいろな経験をしている大人になるほど「同じ経験がある」という言葉は頻繁になるはずです。
どんどん口にしましょう。
失敗した体験なら、なおのこと、どんどん披露して自分の恥をさらしたほうがいい。
それはかっこ悪いことではなく、かっこいいことです。
たくさんの経験をしている事実もさることながら、素直に自分の失敗体験を披露できる潔さに、人間らしい魅力を感じるのです。