私は仕事をするうえで、わかりやすい説明をする先輩に出会ったことがあります。
マツダさんという私より10歳近く年上の先輩です。
先輩は、いつも自分の体験を交えて話をしてくれます。
「ミナクチ君。実は俺も以前に同じことで失敗をしたことがあるよ」
「自分が失敗したときは、ちょうどお客さんの前だったから大変だったよ」
マツダさんの話は、いつも面白かった。
自分が実際にした経験を話してくれているからです。
経験したこともないきれい事より、汚くてもいいから自分が経験した話のほうが、より具体的でわかりやすく、印象にも残ります。
人に物事を教えるときには「実は私も、こういう経験がある」という内容を会話の中に盛り込むことです。
「実は私も、こういう経験がある」という話をすれば、自分の体験を交えて話をしなければならなくなります。
必ず話が具体的になり、面白くなるということなのです。
人に何かを教えるときに、単に話をするだけでは、工夫がありません。
たいていのことは、すでに頭ではわかっているから意外に印象に残らないものです。
「車を運転するときには歩行者に気をつけよう」とはいえ、誰もがすでに頭ではわかっているので、印象に残りません。
「歩行者に気をつけていなかったばかりに、ぶつかりそうになったことがある」と自分の体験を交えた話は、具体的でわかりやすい。
「実は私も、こういう経験がある」という言葉は、相手にわかりやすく印象に残る話をするためのポイントなのです。