嘘には、2種類あります。
ついてはいけない「悪い嘘」と、ついてもいい「よい嘘」です。
悪い嘘は、お金を奪ったり、相手を失望や落胆させたりする嘘です。
未来を奪い、精神的に傷つけたりするような嘘は、絶対についてはいけない。
言うまでもありませんね。
だからと言って、すべて嘘がいけないのかというと、そうでもない。
例外的ですが、ついてもいい「よい嘘」があります。
たとえば、相手が元気になるような嘘は許されます。
明るい未来を描き、笑わせたり、元気にさせたりするような嘘はOKです。
一から十まですべてが嘘ばかりではマナー違反ですが、円滑な人間関係を構築するうえでは、時にはそういう嘘も必要です。
そんな「よい嘘」を、私たちはいつの間にか実践しています。
典型的な例は「服を着ること」です。
本当にありのままの自分を見せるなら、裸です。
偽りは一切ありません。
まさに正直な姿です。
しかし、社会では裸でというわけにはいきませんね。
裸だと寒いし、着るものが必要です。
洋服を着ざるを得ないので、自分の好みやTPOに合った服を着ます。
服を着ざるを得ない状況で、嘘をつかざるを得ない状況になります。
普段着なら、ラフな格好でそういう自分を演出できます。
これもよい嘘です。
自分が明るく元気になり、周りもハッピーにさせているからです。
また、ビジネススーツも同じです。
スーツを着るだけで、さも仕事ができそうなビジネスマンに見えてくるから不思議です。
それはスーツのおかげで、交渉や取引がうまくいっています。
偽薬も、嘘の薬です。
「車酔いにすごく効き目あるよ」と言って手渡されたのが、実は単なる小麦粉だとしても、本物だと思い込めば、効き目があります。
「効き目がある」と本人が思えば、本当にそうなります。
「そうだそうだ」と思っていると、プラシーボ効果で、本当にそうさせる力があります。
悪いことを思い込ませるのはいけませんが、相手の体力が回復したり、希望を抱いたり、人を助けるような嘘は、OKです。
末期の病で入院している患者に「あと余命3カ月です。もうダメですね」と、正直な発言をすれば、誰でも絶望します。
もしかしたら、余命をもっと縮めてしまうかもしれない。
しかし、嘘でもいいから「あと少しで回復しますよ」という明るい未来の話をすれば、一転します。
たとえ嘘だったとしても、そういう明るい希望を抱いていれば、冗談が現実になります。
事実、それで末期のがん患者が奇跡的な回復をした例がいくつもあります。
そういう嘘は、神様も許してくれるのです。