病院や薬局では、患者を「名前」ではなく「番号」で呼ぶことがあります。
受付の際に番号札を渡され、自分の番号が呼ばれたら診察室に入っていく、という流れです。
この番号で呼ばれることに違和感を覚える人がいます。
「受刑者じゃあるまいし、番号で読んでほしくない。きちんと名前を呼んでほしい。患者を尊重すべきだ」と。
これは誤解です。
番号で呼ぶ理由は、大きく2つあります。
1つ目の理由は「個人情報保護のため」です。
患者さんの名前は個人を識別できる情報であり「個人情報」に該当します。
たとえ名字だけであっても、顔と名字が一致するのです。
患者さんによっては自分の名前を聞かれることに抵抗を感じる人もいます。
番号を呼ぶことで、慎重に個人情報を保護しているのです。
2つ目の理由は「同性の混乱を避けるため」です。
たとえば「佐藤」「鈴木」「高橋」「田中」「伊藤」は日本で多い名字として知られています。
同じ名字の人が同じフロアに何人かいることも珍しくありません。
名字で呼ぶと、同じ名字の人が複数いたとき混乱するため、番号でわかりやすく区別しているという意味もあります。
番号で呼ぶのは患者さんを軽く扱っているわけではありません。
むしろより患者さんの個人情報をより慎重に保護しているといえます。
「個人情報保護」「同性の混乱防止」といった理由があり、大切な意味があります。
患者さんを番号で呼ぶ理由を知れば、不快なことでも何でもないのです。