ときどき街でホームレスを目にすることがあります。
路上、公園、駅の構内などに寝泊まりしていて、ほとんど着の身着のままの生活です。
汚れが目立ったり、ひどいにおいが漂っていたりすることも多い。
近づくことがためらわれ、距離を置こうとする人が多いでしょう。
抵抗感を覚え、つい目を背けてしまいます。
少なくとも積極的に近づこうと思う人は少ないはずです。
しかし、ホームレスを否定してはいけません。
どのホームレスも、好きでそうしているわけではありません。
事情があって、やむを得ずそういう状況になってしまった人ばかりです。
なりたくてホームレスをしている人は、1人もいないのです。
ホームレスは目を背けてしまいがちですが、実は見習う点もあります。
家がなくても、生きようとします。
物乞いをしてでも、人目に醜態をさらしてでも、生きようとしています。
外は家の中とは違い、天候の影響を直接受けます。
晴れの日だけではありません。
雨の日もあれば、雪の日もあります。
夏は猛暑の日もあれば、冬は氷点下の日もあります。
エアコンもヒーターもありません。
ホームレス生活は、命に関わるときもあるはずです。
もう1つ大切なことは「ホームレスは犯罪者ではない」ということです。
おなかがすいたら、盗みを働きたくなってもおかしくありませんが、その一線は越えていません。
法は犯さず、ぎりぎりのところで踏みとどまっています。
「渇しても盗泉の水を飲まず」ということわざがありますが、まさにそのとおりです。
これほど過酷な状況でありながらも、必死で生きようとしています。
これはなかなかできることではありません。
「自分に万一のことがあれば、同じ振る舞いができるだろうか」と考えてみてください。
自信のない人も多いはずです。
「ホームレスをするくらいなら○○をする」と考える人もいるかもしれません。
ホームレスをするにも、相当な覚悟と精神力が必要です。
醜態をさらすことといい、過酷な環境といい、簡単そうですが、実は相当大変なことです。
ホームレスの必死で生きようとする姿には、目を見張るものがあります。
ある意味「強い」といえます。
そういったところは、私たちも見習う必要があるのです。