相手から同じ話を聞くことがあります。
同じことを繰り返されると、おやっと思います。
そんなとき「それ、前にも聞いたよ」と言っていませんか。
たしかに間違ってはいません。
前にも聞いた話だから「前にも聞いた」と当たり前に言っているだけで、普通のリアクションです。
同じ話を繰り返されると、時間の無駄のように感じることがあるもの。
相手の話を遮るように、ぴしゃりと言うのです。
しかし「それ、前にも聞いたよ」と言うと、相手はあまり良い気分がしません。
「何度も同じ話をしないでほしい」というニュアンスに聞こえます。
「前に話したことを覚えていないの?」と、記憶力の悪さを責められているように聞こえます。
少なくとも良い印象はない一言です。
悪気はなくても、むっとしているような印象を与えてしまい、相手は萎縮します。
「それ、前も聞いたよ」と言うと、相手はストレスを感じてしまい、嫌な空気が漂うのです。
相手は悪気があって、同じ話を繰り返しているわけではありません。
以前に話したことを忘れているだけかもしれません。
人間ですから、うっかり忘れることはあります。
年配者の方であればなおさらで、誰でも年をとれば記憶力が低下するのは当然です。
あるいは、単に同じ話をもう一度聞いてもらいたいのかもしれません。
嬉しい話は何度も話したくなるものです。
あなたも、以前に話したという認識はあっても、もう一度話したくなることがあるでしょう。
だから話を遮るようなことは言わないのです。
コミュニケーションの空気は、一言で変わります。
「それ、前にも聞いたよ」の一言は、事実であっても、言わないほうがいいセリフです。
では、どう答えるのがいいのでしょうか。
基本は、普通の返事を心がけることです。
「なるほど」
「そうなんですね」
「教えてくれてありがとう」
あたかも初めて聞く話であるかのような受け答えがベストです。
話を遮らず、うんうんうなずきながら聞きます。
そうすれば、話はスムーズに進みます。
これは、同じ話をされるのが3回目4回目であっても同じです。
少し根気はいるかもしれませんが、難しいことはないはずです。
相手は悪気があって、繰り返し言っているわけではありません。
確認のために言ってくれていると思えばいいことです。
同じ話をしていることを、さりげなく相手に気づかせたいこともあるでしょう。
そんなときは「前にお話しくださった○○のことですね。△△になったんですよね」とすでに知っていることを優しく言ってみます。
言い方に注意しながら、話の展開を先回りして話してみると「そうそう、それそれ」となるでしょう。
相手は「すでに話したことでしたね」と気づいてくれ、上手に話の流れを変えられます。
これが、気持ちの良いコミュニケーションです。
場の空気を壊すことなく、相手と気持ちよく話を続けられるのです。