今、大人であるあなたは、生活の大半が知っていることで占めていることでしょう。
本を読んだり書いたりでき、言葉を自在に操ることができる。
見慣れた町の風景。
買い物の仕方、電車の乗り方、仕事の段取りなど、すでに理解している。
口にするのは、食べたことのある料理ばかり。
経験することのほとんどが、以前にも一度見たり聞いたりしたことばかりでしょう。
すべて完全とはいきませんが、世の中の概要をおおむね理解し、知っているばかりのはずです。
それが大人です。
だからこそ、落ち着きがあります。
大人が落ち着きのある理由は「豊富な経験量」です。
しかし、言い換えれば、感動が小さくなっていることでもあります。
見るもの聞くもの触るものなど、すべてに慣れ切ってしまっている。
そんな大人である親の目線から子どもを見ると、はしゃいでうるさい子どもたちが理解できなくなる場合があります。
大切な初心を忘れていませんか。
子どもはどうでしょうか。
まだ経験量が少ない時期です。
子どもはなぜ、はしゃぐのか。
見たり聞いたりするものなど、すべてが初体験ばかりだからです。
「はしゃぐ」というのは、言い方を変えれば「感動する」ということです。
見るもの聞くもの経験するものが初めてなら、自然とわくわくします。
初めてのことばかりに心が揺れ動き、感動しています。
大きな感動で、大笑いしたり走り回ったりして、落ち着いていられない。
驚きを体中で表現している姿です。
あなたもはるか昔、子どもだったころを思い出しましょう。
何もかも初めて経験していることばかりだったころは、いつもはしゃいでいたことでしょう。
幼稚園くらいだったころ、道端に咲いていた花に興味を持っていた時期があったはずです。
今となっては、単に「花だ」で終わっていますが、子どもだったころは「何だろう。きれいだ」と興味津々だったはずです。
花を触ったり、においを嗅いだりしたことでしょう。
初めて見る町の風景。
慣れない買い物の仕方。
どうすればいいのかわからない電車の乗り方。
初めて口にする料理ばかり。
あらゆることが新鮮だった時期です。
感動するときには、落ち着いていられません。
つい、はしゃいでしまいます。
「知っていることばかりの大人」と「知らないことばかりの子ども」
親は、このギャップを理解しておく必要があります。
「知る・知らない」の違いだけかと思っていると、幅が広がります。
「知る・知らない」の違いだけで「落ち着き」と「はしゃぐ」という態度まで、180度変わります。
子どもは初体験が多くて感動が大きいから、はしゃいでいます。
そんな子どもの目線で、今からもう一度、あなたのお子さんを見てあげましょう。
優しい気持ちになれることでしょう。
はしゃぎ回る子どもを、単にうるさいなあと思うのではなく、感動している子どもの気持ちを理解してあげます。
当たり前の話になりすぎましたか。
当たり前とはわかっていますが、大人になるにつれて、つい忘れがちな初心です。
あえて、ここで再認識としてご紹介させていただきました。
いま一度、子育てをするにあたり、初心に返る意味でも、ここでお話ししたかったのです。