「日記をつける人は、ぼけにくい」
医療現場にはそういうデータがあります。
事実、私の祖父も日記をつける習慣がありましたが、78歳で死ぬ最後まで、まったくぼけることはありませんでした。
いえ、死ぬ直前まで若者のようにはっきりした話し方で、記憶も意識もはっきりしていました。
その祖父には、毎晩就寝前、日記をつける習慣がありました。
何冊も日記があり、昔の日記を見ると、なんと私が生まれた日の記録まで残っていて、驚かされたことがあります。
「そんな昔から続けていたのか!」
生まれる前の何十年も前から、1日も欠かさず書き続けていたのかと思うと、言葉を失います。
まさに尊敬です。
日記をそんなに続けられる人は、そういるものではありません。
祖父の日記から、自分の生まれた様子を知るのは、不思議な感じがします。
私は、1980年の7月7日の月曜日、夜中に生まれました。
日記によると生まれた直後、まず父が急いで病院に駆けつけた様子がつづられています。
その後祖父や祖母が車に乗って病院に駆けつけたそうです。
生々しい記録が残っており、すごく印象深い文章でした。
一方、日記をつけない祖母は、70代に入ってからぼけてしまいました。
昔から積極的に外出することが少なく出無精で、家でじっとしていることが多い祖母でした。
そもそもそういう性格でした。
「日記は頭にいい」と昔からよく言われます。
なぜかというと「想起を促す行為」だからです。
ぼけるというのは「昔を思い出せなくなる」ということです。
思い出す習慣がなくなるからぼけます。
私たちの日常には、普通に暮らしていれば、思い出す機会がたくさんあります。
人と会ったとき、名前を思い出す。
仕事に着手しようとするとき、仕事内容を思い出す。
買い物でデパートに向かったとき、買おうとしていたものを思い出す。
普通に暮らしていると、思い出す機会は数多くあり、記憶力の低下を防ぎます。
しかし、足腰が弱ってしまうと出無精になり、部屋でじっとしている時間が長くなります。
部屋でじっとしていると、刺激も入ってこない時間も長くなり、同時に思い出す機会も少なくなります。
脳の神経は、使っているところは強化されますが、使わない部分は衰弱します。
思い出す機能を使わなくなったため、脳の「思い出そうとする機能」も弱ってしまいます。
日記をつけると絶対にぼけないわけではありませんが、脳にいい刺激を与えることはたしかです。
脳は、使えば使うほど強化されます。
強化するためには、どんどん使うことです。
そこで、子どもに日記をつける習慣を持たせてみましょう。
日記をつけると、子どもの成績がよくなります。
テストもいわば、昔を思い出す行為です。
頭が柔らかい時期に昔を思い出す機会が習慣になれば、思い出すために使う脳神経が強化されます。
昔を思い出す力が強化されると、テスト前に覚えたことも思い出しやすくなる。
その結果、テストの結果がよくなります。
脳が柔らかいときこそ、過去を思い出す機会を頻繁に作ると、それだけ脳が柔軟に対応しようとします。
特に子どもは毎日が新しい発見の連続ですから、日記のネタも続きやすいことでしょう。
どんどん日記を書かせて、思い出す機会をつくらせましょう。
日記は脳を鍛えるダンベルになるのです。