執筆者:水口貴博

子どもの才能を伸ばす30の習慣

13

子どもの見方や感じ方を、最大限尊重する。

子どもの見方や感じ方を、最大限尊重する。 | 子どもの才能を伸ばす30の習慣

私が小学生のころ、同じクラスに登校拒否をする、Mさんという女の子がいました。

初めは毎日、普通に通っていました。

じわじわ来なくなったのではなく、ある日を境に急に、学校に来なくなりました。

その境に何かあったのか。

私は同じクラスで、席も近かったので、そのきっかけを知っています。

まだ低学年でしたが、はっきり覚えています。

ある日、絵を描く授業がありました。

先生が、本物の花を用意して、見ながら絵を描くというテーマでした。

みんな、花を見ながら、絵を描きます。

それぞれが個性ある花を書いていました。

個性とはいえ、小学生の低学年ですから、うまいというほどの絵ではありません。

私も含め、まあ、小学生らしい絵を描いていました。

そんな中、Mさんだけは一風変わった絵を描いていました。

漫画のような花の絵を描いていました。

それを見て先生は怒ります。

「漫画を書く時間じゃありません!」

「きちんと花をよく見て書きなさい!」

その女の子は大泣きしてしまいました。

私もまだ子どもでしたが「そんなに怒らなくてもいいのに」という強い叱り方でした。

先生が大きな声で叱るので、ほかの生徒も絵を描くのをやめ、Mさんの周りに集まっていました。

そういう状況はよくありませんし、そういう状況にさせるような先生もよくありません。

Mさんとしては、下手な絵で先生に叱られ、下手な絵をみんなに見られ、ひどく傷つき、すっかり自信をなくしたのでしょう。

それ以来、Mさんは登校拒否になってしまいました。

子どもなりに、絵を見てどう感じるかは、人それぞれです。

おそらくMさんとしては、漫画のように花が見えたのでしょう。

Mさんは静かで真面目な人です。

決してふざけて描いているような絵ではありませんでした。

Mさんなりに、見たまま描いたら、漫画のようになってしまったのでしょう。

しかし、先生は、Mさんがふざけていると勘違いして、ひどく叱ります。

それはよくありません。

そういうふうに見えたから、そういう絵も受け入れられるはずです。

どう見え、どう感じるのかは、本人にしかわからないことです。

赤いバラの花だから、赤く描かなければいけない決まりはありません。

赤いバラでも、青のような印象を受ければ、青く描いてもいい。

バラでも、ヒマワリのように見えれば、大きく書いてもいい。

絵を描くとはいえ、多種多様です。

漫画のような描き方でもあるはずです。

そこで、親や先生が「花はこういうものだ」という教え方をすると、子どもは伸び悩みます。

まったく叱る場面ではありません。

私は、今になって思います。

もしや、Mさんは何か才能があったのではないかと。

それ以来、Mさんが登校拒否になってしまって会えなくなったので、詳しいことはわかりませんが、可能性はあったはずです。

往々にして、才能のある人の絵は、変な絵です。

ピカソの絵も「きれいな絵」というより「変な絵」です。

大人ですら理解できないもの。

言い方は悪いかもしれませんが、天才の描く絵ほど、子どもが適当に描いたような絵に見えます。

素晴らしい才能は、一般人には理解できないということです。

一般の人には理解できない印象を受け、一風変わった表現をするから、そう見えるだけ。

大人にはふざけているように見えても、才能かもしれません。

もしかしたらMさんは何か才能を秘めていたのかもしれないと、今になって思いました。

あのとき、先生が叱らずに褒めていれば、Mさんはまた別の道を歩んでいたかもしれません。

子どもの感じ方を尊重してあげましょう。

子どもが見たまま、感じたままに絵を描かせてあげましょう。

子どもの才能を伸ばす習慣(13)
  • 子どもの見方、感じ方などを、尊重する。
子どもの才能を伸ばすとき、親はエジソンの母を見習うべし!

子どもの才能を伸ばす30の習慣

  1. 子どもの才能発揮は、マズローの5段階欲求説が鍵を握る。
  2. 愛情の注がれた子どもは、自然と才能を伸ばしていく。
  3. 子どもに約束を守りなさいという前に、親がきちんと約束を守る。
  4. 子どもに完璧を求めすぎない。
  5. 子どもの悪いところではなく、いいところを見る。
  6. 子どもの成長を喜ぶと、子どもの伸びはもっとよくなる。
  7. 子育て上手な親は演技がうまい。
    見ていないふりをしながら、しっかり見る。
  8. 社会のルール・マナー・常識などの勉強を、すべて学校任せにしない。
  9. 子どもの「やってみたい」という言動を、親はできるだけ支える。
  10. 夢中になって本を読むとき、その先に才能の可能性があるのかもしれない。
  11. 成功した親に育てられると、子どもも成功しやすくなる。
  12. 単に否定するしつけで終わらせない。
    代替案を与えながらしつける。
  13. 子どもの見方や感じ方を、最大限尊重する。
  14. 子どもの才能を伸ばすとき、親はエジソンの母を見習うべし!
  15. さまざまな経験を積むことは、自分の向き・不向きを知るきっかけになる。
  16. 心より技能を重視すると、才能は伸び悩む。
  17. 何事も「楽しさ」から教えることが肝心。
  18. 特定分野で、親より秀でた子どもに嫉妬しない。
  19. 子どもの「旺盛な好奇心」を、学校の勉強以上に重視する。
  20. 失敗は、成功の対義語ではなく同義語であると、子どもに教えてあげる。
  21. 「やりたいことをやる」という教育方針を貫く。
  22. 親がプラス発想だと、子どももプラス発想になる。
  23. 子どもが親を理解するのではなく、親が子どもを理解してあげないといけない。
  24. 私たちの元をたどれば、同じ親にたどり着く。
  25. 短所があるから、子どもは伸びる。
  26. わが子はわが子。
    他人の子と比べる必要はない。
  27. 才能に制限時間を設けないほうが、伸びやすくなる。
  28. 子どもは、親が思いもしない方向へ育っていくもの。
  29. 勉強ができない分野があってもいい。
    大切なことは「得意分野」があること。
  30. 「学ぶ楽しさ」から「生かす楽しさ」へスイッチを促す。

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