禅の教えに「莫妄想」という言葉があります。
「莫」は「○○してはいけない」という否定を表す言葉です。
つまり「無用な妄想をしてはいけない」という意味です。
禅の世界では過去も未来も存在しません。
そのため将来の不安や心配はすべて妄想であるとされているのです。
私たちは、妄想に時間を費やしては、不安になったり落ち込んだりしがちです。
「もしこうなったらどうしよう。もしああなったらどうしよう」と、つい悪いほうばかり考えてしまう。
どんどん暗い気持ちになってしまい、ため息が止まらなくなるのです。
しかし、妄想をしたところで仕方ありません。
妄想は、あくまで妄想です。
頭の中で繰り広げられているイメージに過ぎません。
妄想とは、根拠のないことをあれこれ想像することです。
どんなに想像したところで、まだ現実には起こっていません。
そこに根拠がなければ、単なる勝手な想像ということになります。
妄想ばかりしていると、不安に心が支配されます。
やる気を失ったり、時間と労力の無駄を生んだりして、人生のブレーキとなるのです。
ここで面白いデータを1つご紹介します。
アメリカのミシガン大学が行った研究に興味深い発表があります。
それによると、私たちが抱く心配事の80パーセントは、実際には起こらないとされています。
さらに残りの20パーセントのうち16パーセントは、事前に準備ができていれば、対処可能であることも明らかになっています。
つまり、心配事の96パーセントは、実際には起こらず、取り越し苦労で終わるのです。
あれこれ妄想したところで仕方ないことがわかるのではないでしょうか。
妄想をするのではありません。
計画を立てましょう。
妄想には根拠はありませんが、計画には根拠があります。
そこには具体性があり、実現可能な筋道があります。
妄想をしてばかりでは、余計なストレスに苦しめられ、貴重な時間と労力を浪費するだけです。
妄想する暇があれば、具体的な計画を立てましょう。
逆算思考で先にゴールと期限を決め、それを実現するためのステップを考えます。
海外旅行がしたいなら「いつか海外旅行をしたい」ではなく、具体的な計画を立てます。
マイホームを持ちたいなら「いつかマイホームを持ちたい」ではなく、具体的な計画を立てます。
自分のお店を開きたいなら「自分のお店を開きたい」ではなく、具体的な計画を立てます。
逆算思考できちんと計画を立てれば、今すべきことも見えてきます。
計画を立てると、悪い妄想は消え、明るいイメージが生まれます。
計画があればモチベーションも上がるので、人生を生きるのが楽しみになるのです。