忘れることを悪いことだと思っていませんか。
たしかに「忘れる」という言葉には、ネガティブな印象があるでしょう。
物覚えは、悪いよりいいほうが役立ちます。
物覚えがいいと、試験でも、よい成績を取りやすくなります。
仕事でも人付き合いでも、高い記憶力は役立ちます。
人の顔や過去の出来事も覚えやすくなると、コミュニケーションもスムーズです。
記憶力が悪いのは、由々しきことであると思いがちです。
記憶力に自信のない人の中には、わざわざ記憶力のトレーニングをしている人もいるかもしれません。
しかし、ここで気づいてほしいことがあります。
忘れることが悪いことと決めつけるのは早計です。
忘れることがマイナスに働くこともありますが、プラスに働くこともたくさんあります。
もし完全にすべてを記憶して、まったく忘れることがなくなればどうなるか、想像してみてください。
楽しくて面白い出来事・明るくて幸せな出来事をすべて覚えることになるでしょう。
つらくて苦しい出来事・暗くて不幸な出来事をすべて覚えることになるでしょう。
生きる時間が長くなるにつれて、ポジティブな記憶もネガティブな記憶もごちゃまぜに増えます。
いろいろな記憶が顕在意識に表れ、ごちゃごちゃした状態になるでしょう。
一度に喜怒哀楽を感じることになり、複雑な感情になるでしょう。
頭の中が複雑になっていくと、きっと発狂してしまうに違いありません。
なぜ、人間に忘れるという能力が備わっているのか。
それは、常に新鮮な気持ちでいるためです。
よいことも悪いことも、どんどん忘れていくから、過去を引きずることがなくなり、常に新鮮な気持ちでいられます。
結果として、明るく元気でいられます。
私たち人間にとって、忘れることは新鮮な気持ちで生きていくために欠かせない能力です。
嫌なことはさっさと忘れましょう。
記憶力が悪くても、どうか落ち込まないでください。
記憶力が悪くてよいのです。
特に嫌な出来事は、積極的に忘れていきましょう。
反省が終われば、すぐ忘れてしまうのが一番。
早く忘れることで、過去にとらわれず、前を向けます。
たとえポジティブな過去であっても、こだわるのはやめて、できるだけ忘れるのがいいでしょう。
そうすれば、自慢話や武勇伝で相手を困らせることもなくなります。
せっかく忘れる能力が備わっているのです。
上手に活用して、新鮮な気持ちを取り戻しましょう。
「忘れることが得意」という自覚があるなら、いつも新鮮な気持ちでいられます。
忘れることを恐れないでください。
「忘れる」というのは、素晴らしい能力です。
忘れるおかげで、常に新鮮な気持ちでいられるのです。