「聞く」という行為は、力を入れなくてもできます。
常に耳の穴はあいているので、聞こえてくる声を認識するだけです。
集中しなくてもできる。
ぼんやりしていてもできる。
練習も技術も不要です。
聞こえてくる言葉を聞き取っていれば、練習しなくても、普通に理解できます。
ここに落とし穴があります。
聞く行為は、簡単にできるからこそ、多くの人が油断しがちです。
言葉を誤解したり、中途半端に理解したりすることが多い。
外国語なら別ですが、母国語の日常会話でスピーキングの努力をする人はいても、リスニングの努力をする人は少ない。
相手が何を話しているのか理解していなければ、上手に返事ができません。
面白い返事をするためには、まず相手の話を理解する必要があります。
そのため必要なのが、聞き取り能力です。
ぼんやり聞くのではありません。
しっかり聞くのです。
今まで「聞く」という行為を意識していなかったかもしれませんが、今後はしっかり聞くことを意識しましょう。
心がけることはシンプル。
きちんと相手の話に耳を傾けるだけです。
「何の話をしているのか」をしっかり理解する。
相手の言葉を一字一句まですべて聞き取るくらい集中したい。
相手の言葉を聞き取って理解するからこそ、適切な返事ができます。
会話中に未知の言葉が登場したら、勇気を持って質問してみましょう。
未知の言葉を放置していると、誤解や理解不足の原因になります。
質問をして、どんどん新しい言葉を吸収していけば、語彙力も高まります。
余裕があれば、言葉の表面の意味だけでなく、裏の意味も読み取っていくといいでしょう。
相手が思っていることをすべて話してくれるとは限りません。
本音もあれば、建前もある。
本気の言葉もあれば、お世辞の言葉もある。
あなたが発する言葉がすべて本音とは限らないように、相手が発することもすべて本音とは限りません。
「いかに言外の意味を読み取っていくか」ということです。
たとえば、相手が疲れた話ばかりをしていたとします。
相手は疲れを伝えたいとは限りません。
実際は「励ましてもらいたい」「慰めてもらいたい」などの意味が隠れているかもしれません。
相手の言葉を具体的に聞き取っていくと、言外の意味も読み取れるようになります。
会話は、聞くことから始まります。
しっかり聞けない人は、よい返事もできません。
しっかり聞いてこそ、より良い返事ができるのです。