執筆者:水口貴博

尊敬される父親になる30の条件

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子どもから嫌われることが、父親の仕事。

子どもから嫌われることが、父親の仕事。 | 尊敬される父親になる30の条件

「父親は、子どもから嫌われることが仕事なのよね」

以前、行きつけの美容院のおばさんが小さな声で言った言葉に、私は妙に納得してしまったことがあります。

私の母と同じくらいの年齢のおばさんでした。

私と同じ年の息子さんをお持ちということもあり、共通点が多く、話がよく弾んだものです。

母に髪を切られているような心境になっていました。

上記の言葉は、そんな親子について会話をしたときに出た言葉です。

父親母親それぞれの「親としての役割」は大きく異なりますが、とりわけ父親は子どもから嫌われることが父親の役目となります。

嫌われるような父親にならないといけない。

そう聞くと「信じられない」と思うでしょう。

しかし、子どもから「うちの父はなっていない!」と言われるようになり、初めて父としての役目ができているのです。

私も、学生時代は、父親が嫌いでたまりませんでした。

この世で一番嫌いな人であり、否定をしてきた存在でした。

子どもとしては、大嫌いな親を乗り越えようとしているからこそ反論、反発、否定をして、その力をバネに成長していくのです。

物心がつき、判断ができて、自分の力で生きていけるようになれば、親からの保護を自分から断ち切り、自分の道を選び進みます。

それは往々にして「父が嫌い」「親なんていらない」という曲がった言葉として表現される場合が多いのです。

私の父も強い威厳があり、怒れば怖い父親でしたが、父親としての仕事ができている証拠でした。

幼い私は、その威厳に逆らうことができず、従うしかなかった。

幼稚園や小学生のころは、その圧力に従いながら成長しますが、中学から高校にかけて、たまったストレスは一気に噴き出します。

父の威厳により、子どもは父を否定し、乗り越えたい欲求が大きくなります。

反抗期が、その代表例です。

いずれ子どもは、親元から離れていく。

当時の私にしてみれば、高校卒業後のアメリカへの留学がそれにあたります。

「アメリカへ行きたい」という気持ちより、親から離れたいという反発力のほうが強くて、圧倒的な原動力となっていました。

そのくらいに父が嫌いでしたが、結果として今、成長できている自分がいるのです。

私はまんまと、父からの教育どおりに育ってきたということです。

父は、子の教育のために威厳を出し、出した威厳のために子どもから嫌われ、子どもは反発力をバネに成長していったのです。

命を懸けた教育だったのです。

だから今の私がいます。

父は子育てをしていない、と思っていた私が間違っていたのでした。

父は、自分を犠牲にすることで、子を育てていたのでした。

「父親は、子どもから嫌われることが仕事なのよね」という言葉は、自分の過去を照らし合わせて、そのとおりだと思ったのです。

尊敬される父親になる条件(29)
  • 子どもから嫌われる。
子どもを手放せる親こそ、本当に愛の深い親。

尊敬される父親になる30の条件

尊敬される父親になる30の条件
  1. 教育される側になるほうが、尊敬できる父親が見える。
    教育される側になるほうが、尊敬できる父親が見える。
  2. 母のことを大切にしている父親を見て、子は育つ。
    母のことを大切にしている父親を見て、子は育つ。
  3. 「熱心に教える姿勢」と「放任できる姿勢」は、セットである。
    「熱心に教える姿勢」と「放任できる姿勢」は、セットである。
  4. 命令で育ててはいけない。<br>アドバイスで育てること。
    命令で育ててはいけない。
    アドバイスで育てること。
  5. 積極的な親からは、積極的な子が育つ。
    積極的な親からは、積極的な子が育つ。
  6. 家族旅行で、家族全体が成長する。
    家族旅行で、家族全体が成長する。
  7. 寡黙な父には、威厳がある。
    寡黙な父には、威厳がある。
  8. 感謝のできない父親は失格。
    感謝のできない父親は失格。
  9. 「優しさ」と「怒り」は、同じ愛の表現である。
    「優しさ」と「怒り」は、同じ愛の表現である。
  10. 父は言葉で指導しない。<br>行動で指導する。
    父は言葉で指導しない。
    行動で指導する。
  11. 「家族のために働いている」と、言ってはいけない。
    「家族のために働いている」と、言ってはいけない。
  12. 仕事で帰りが遅くなっても、家族の記念日には早く帰ること。
    仕事で帰りが遅くなっても、家族の記念日には早く帰ること。
  13. 子育てにも「守破離」がある。
    子育てにも「守破離」がある。
  14. 親に反抗する子どもを、喜ばないといけない。
    親に反抗する子どもを、喜ばないといけない。
  15. 「親離れ」だけではない。<br>親も「子離れ」をしないといけない。
    「親離れ」だけではない。
    親も「子離れ」をしないといけない。
  16. 父が子にできることといえば、父としての手本を見せること。
    父が子にできることといえば、父としての手本を見せること。
  17. 子どもが遠くに離れても、目には見えない糸でつながっている。
    子どもが遠くに離れても、目には見えない糸でつながっている。
  18. 子どもが間違っても、怒鳴らない父になる。
    子どもが間違っても、怒鳴らない父になる。
  19. 教育は、怒鳴ることではない。<br>叱ることである。
    教育は、怒鳴ることではない。
    叱ることである。
  20. 疲れがたまった休日は、家族で温泉に出かけよう。
    疲れがたまった休日は、家族で温泉に出かけよう。
  21. 妻に子育てを任せている家庭は、うまくいかない。
    妻に子育てを任せている家庭は、うまくいかない。
  22. 車の運転の仕方に、父の本性が現れる。
    車の運転の仕方に、父の本性が現れる。
  23. 父は、妻をけなしてはいけない。
    父は、妻をけなしてはいけない。
  24. 褒めるお父さんが、尊敬される。
    褒めるお父さんが、尊敬される。
  25. 子育てをする親は、調教師と似ている。
    子育てをする親は、調教師と似ている。
  26. 褒める教育ができない理由は、自分と両親との過去にある。
    褒める教育ができない理由は、自分と両親との過去にある。
  27. 尊敬される父は「頑張れ!」とは言わない。<br>「楽しんで!」と応援する。
    尊敬される父は「頑張れ!」とは言わない。
    「楽しんで!」と応援する。
  28. 子どもに好きなことをやらせよう。
    子どもに好きなことをやらせよう。
  29. 子どもから嫌われることが、父親の仕事。
    子どもから嫌われることが、父親の仕事。
  30. 子どもを手放せる親こそ、本当に愛の深い親。
    子どもを手放せる親こそ、本当に愛の深い親。

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