私たちは、いつの間にか周りに合わせていることがあります。
周りが「あの絵がきれい」と言っていれば、自分も周りに合わせて「きれいだね」と言ってしまう。
周りが「この曲はいいね」と褒めていれば、自分も周りに合わせて「いい曲だね」と褒めてしまう。
周りが「あの映画は素晴らしい」と認めていれば、自分も周りに合わせて「素晴らしい」と認めてしまう。
実際は「それほどでもない」という本音があったとしても、周りの意見を合わせてしまう自分がいる。
これを社会心理学では「同調現象」といいます。
人間は、リスクを避ける一方、結束を強めたい本能があります。
他人の意見に自分の意見を一致させれば、少なくとも摩擦や衝突がなくなります。
また周りと同じ意見になることで、結束力も高められます。
安心感や結束力を得ようとして、いつの間にか周りと合わせた行動を取っていることがあります。
もしくは、意識的に自分から進んで周りと同調している人もいるかもしれません。
こうした経験に心当たりのある人も多いのではないでしょうか。
人間関係をスムーズにする処世術ですが、注意点も必要です。
「本来の自分を見失いやすくなる」というリスクがあります。
周りに合わせていると、自分の正直な感覚を無視することになります。
自分の意見は二の次。
周りの意見に合わせているうちに、人に合わせる自分が普通になってくる。
正直な意見が自分でもわからなくなり、本来の自分を見失っていることがあるのです。
また周りに合わせることで、人間関係に摩擦はなくても、自分の心に摩擦が生まれます。
じわじわ心にストレスがたまり「何か違う」という違和感に悩むことになるでしょう。
素直な人になりたいなら、いま一度、自分の正直な感覚を大事にしてください。
周りの意見に流されず、自分が素直に感じたことを表現しましょう。
自分の目で見たこと、耳で聞いたこと、心で感じたこと。
自分の五感で感じたことを素直に表現するだけでいいのです。
きれいと思えば「きれい」と言う。
そうでもないなら「そうでもない」と言う。
自分が感じたことが、正解です。
いったん周りの声に耳をふさいでみるのも悪くありません。
周りの声を遮断することで、自分の正直な感覚に集中しやすくなります。
自分の人生の主役は、自分です。
自分の感覚は、あくまで自分の感覚として尊重することが大切です。
自分の感性をありのまま表現していくことで、素直になっていけます。