「質と量のどちらが大切か」
そう聞かれたとき、あなたはどちらを選びますか。
質と量があれば、私たちは質を重視することが多いのではないでしょうか。
たしかにクリエイティブの最終目標は、質です。
質の低い作品は、100あろうと1000あろうと注目されません。
質の低いものは、いくら量があったところで無意味。
あまりに質が低いと「存在価値がない」と判断されても不思議ではないでしょう。
作品を作るなら、量より質を重視するのが正しいと思うのではないでしょうか。
しかし、クリエイティブな人になりたいなら、まず質より量を重視するのが正解です。
質は、量があってこそ成り立つ要素だからです。
最初から質を求めようとしても、なかなか思うようにいかないでしょう。
高い質を実現するためには、慣れと経験が必要です。
慣れと経験を得るためには、量をこなす必要があります。
勉強でもスポーツでも、まず大量の練習をこなす必要があります。
勉強なら、大量の問題を解きます。
スポーツなら、大量の練習をこなします。
量をこなすからこそしっかり身につき、しっかり身につくから上達できます。
これは芸術でも同じことです。
たくさん作品を作って量をこなすからこそ、慣れや経験を得ることができ、質の向上につながります。
つまり、量は質に転化するのです。
これを「量質転化の法則」と呼びます。
質は、量からしか生まれません。
量をこなすことは、質を高めるために必要な通過点です。
優れた芸術家は、多作家が目立ちます。
パブロ・ピカソは、多作家として有名です。
版画・挿絵・油絵などすべてを含めると、生涯で15万点以上の作品を描きました。
ピカソは92歳でなくなりましたが、画家として活動を始めた時期を考慮すると、1日あたり4点前後のハイペースです。
漫画家の手塚治氏が生涯で生み出した作品は、700以上に上ります。
枚数で計算すると、15万枚以上であり、まさしく大量です。
ドイツの詩人ゲーテには、シャルロッテという恋人がいました。
ゲーテが彼女に送ったラブレターの数も、なんと1,800枚。
これだけ大量のラブレターを書く経験があったからこそ、詩人としての才能を発揮できたのでしょう。
現在活躍している芸術家たちも、その多くは多作家です。
クリエイティブだから、量をこなせるのではありません。
量をこなすから、クリエイティブになれるのです。
質の心配をする暇があるなら、1つでも多くの作品を作ることです。
もちろんやみくもに量をこなすのではなく、真剣に量をこなすことが大切です。
作って、作って、作りまくる。
作品に自信がないなら、自信がないなりに量をこなしましょう。
量をこなせば、何か見つかります。
真剣に量をこなせば、必然的に質も向上します。
量は質に転化するのです。