親の子どもへの会話は、往々にして説教のような雰囲気が漂いがちです。
子どもが学校で悩みを話したとき、強気の親なら「あなたがしっかりしないからでしょ」と逆に叱られることがあります。
子どもに強く育ってもらいたいからこそ、つい、厳しい言葉を投げてしまいます。
しっかりした子どもに育つためには、子どもを叱るように励まし、気持ちを奮い立たせようとします。
「もっとしっかりした子に育つはずだ」と思います。
しかし、実際のところ、必ずしもそうなるとは限りません。
親の願いもむなしく、子どもは逆に、心の距離を離してしまうことのほうが多いのが現実です。
「親は自分の気持ちをわかってくれない。逆に叱られた。話さなければよかった」
悩みを話すことで、子どもは親に弱みを握られている感じがしてしまい、話したことを後悔してしまいます。
そのうち子どもは、悩みがあっても、親に何も言えなくなります。
しかも親とは毎日顔を合わせることになります。
一番頼りになるはずの親が、最も相談しにくい対象になってしまいます。
親子のコミュニケーションで大切なのは、子どもに「話してよかった」と思わせることです。
親は、そういうおおらかな反応を見せることです。
では、どうすれば、子どもに「話してよかった」と思える会話ができるのでしょうか。
それは「共感」です。
子どもが打ち明けた悩みに対して、共感すればいい。
「親は自分の気持ちをわかってくれる」と思い「話してよかった」と感動します。
もちろんすべての会話が共感できるものばかりではないでしょう。
中にはどうしても子どもの考えに反する内容もあるはずです。
そういうときでも、まず「そうね」「なるほど」「気持ちはわかるよ」と言って、一度受け入れることが大切です。
受け入れた後に反することを言えば、子どもは親の言い分を聞きやすくなります。
親と子のコミュニケーションでは、何でも言い合えるのが理想です。
その鍵は、コミュニケーションに「共感」があるかどうかなのです。