執筆者:水口貴博

子どもがすくすく成長する30のしつけ

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お墓参りの意味を、納得するまできちんと説明する。

お墓参りの意味を、納得するまできちんと説明する。 | 子どもがすくすく成長する30のしつけ

はるか昔、まだ私が幼いころです。

たしか幼稚園に入園したばかりのころだったと思います。

ある日、親から「お墓参り」なるものに行くと言われ、とぼとぼついていった記憶があります。

お墓参りの意味はわかりませんでしたが、とりあえず家族で出かけました。

水口家のお墓は、小高い山の上にあります。

「誰か特別な人に会うのかな?」

行った先にあるのは、大きな石でした。

たいていお墓参りは、1カ所だけではなく、複数の墓地を巡ります。

どこのお墓に行っても、あるのは大きな石だけ。

別に人がいるわけでも、誰かに会いに行くわけでもない。

そんな大きな石を掃除して、手を合わせて拝むだけ。

何の意味があるのだろうと思っていました。

お墓参りとは大きな石を掃除するものだと思っていました。

もしかしたら以前に、親から「お墓参り」の説明を受けていたのかもしれませんが、覚えていません。

「ご先祖様」という意味がわからなかったり「死」のイメージがわからなかったりして、理解できていなかったのだと思います。

子どもに「ご先祖様」という言葉を使っても、まだ通じません。

ご先祖様と言わず「お父さんのお父さんのお父さん」というほうが、まだ直感的でわかりやすい。

ある日、母から「ご先祖様とはお父さんのお父さんのお父さん」という説明を聞いて、ようやく意味がわかり始めました。

「おじいちゃんより昔に生きていた人」

ようやくですが意味がわかり始めました。

しかし、です。

そのことが、まだ信じられませんでした。

頭で理解できても、まだ実感が湧きません。

当時、まだ一度も人の死に遭遇したことがなく「人はいつか死ぬ」ということすら空想の世界のような話だと思っていました。

お墓参りの意味がきちんと理解できず、自分のご先祖様が眠っているという実感が湧きませんでした。

「嘘だ! 信じられない!」

どうしても信じようとしない私を見るに見かねて、祖父は驚くべき行動を取ります。

なんと墓石をずらして、本物の骨が入っているところを見せました。

今でもその光景ははっきり覚えています。

ひときわ古い壺の中に、たしかに本物の骨が入っていました。

かなり強烈な光景でした。

「これがお前のご先祖様の骨だ」

「うわっ、本当だ。気持ち悪い!」

骨を見ると、やはり驚かずにはいられません。

実際に手にとって、触ってみました。

自分が生まれる前に、お世話になった人の骨。

この世にはもういない。

何か骨の重さ以外の、違った重みを感じました。

もちろん墓石をずらすのは、ご先祖様も喜ばないでしょう。

しかし、信用しようとしない孫への特別措置でした。

「今、自分が生きているというのは偶然ではない」

それを教える機会です。

自分には父がいて、その父にも父がいて、さらにその父にも父がいる。

長い時間を経た、遺伝子のつながりがある。

遺伝子のつながりや、過去のご先祖様のおかげで、今の自分がいることを必死に教えようとしていました。

「このお墓の下には、自分のご先祖様が眠っている。この人がいなければ今日の自分もいなかった」

そういうことをしっかり実感させるのも、親のしつけの1つです。

お墓参りの意味を徹底的に子どもに教える。

ご先祖様への感謝の気持ちを持たせるということです。

もうこの世にはいないけれど、自分が生まれる以前、とてもお世話になった人がいたのです。

子どもがすくすく成長するしつけ(6)
  • お墓参りの意味を、教える。
言い訳をしない癖をつけ、反省を促そう。

子どもがすくすく成長する30のしつけ

  1. 自由奔放は教育ではない。
    きちんとしたしつけを施すのが親の努め。
  2. 子どもへのしつけは、常に親が先行する形を取る。
  3. 食べたものは後片付けをさせるよう、しつける。
  4. 「勉強しろ」という親こそ、勉強をする。
  5. 歯磨きの習慣がないと、大人になってから苦労する。
  6. お墓参りの意味を、納得するまできちんと説明する。
  7. 言い訳をしない癖をつけ、反省を促そう。
  8. 整理整頓の基本は、実にシンプル。
    「使い終われば、元の場所に戻す」
  9. 品行方正のある親からは、品行方正のある子が育つ。
  10. 子どもは、親が考えるよりはるかに怯えやすい。
  11. 父と母の教育論は、違っていて当然。
  12. 時には、夫婦喧嘩も必要。
    大切なことはきちんと仲直りすること。
  13. 子どもの前で、夫婦喧嘩をしない。
  14. 子どもは、期待されるほど成績を伸ばす。
  15. 子どもからの難易度の高い質問には「調べて教えてほしい」と答えればいい。
  16. 面倒見のよすぎる親は、子どもから失敗する機会を奪っている。
  17. 意味もなく、子どもにお金を与えない。
  18. 子どもにトイレ掃除をさせると、トイレをきれいに使うようになる。
  19. 喧嘩は、最初に手を出したほうが負け。
  20. 一度のしつけで、素直に言うことを聞く子のほうが珍しい。
  21. 靴とはいえ、侮れない。
    脱いだ靴で、人間性まで判断されてしまう。
  22. できなかった部分より、できた部分を見て褒める。
  23. 10歳になれば、そろそろ子どもへの対応を変える時期。
  24. 子どもにも家族運営に参加させる。
  25. やりたくない習い事は、無理にやらせないほうがいい。
  26. 外国語学習に力を入れるなら、母国語の学習から徹底すること。
  27. 子どもに求めるべきは、速いかより、できるか。
  28. しつけが必要なのは、子どもより、親のほうかもしれない。
  29. 親子の仲とはいえ、閉まっているドアを開けるときにはノックをする。
  30. しつけは弱くても問題ない。
    むしろ、しつけが厳しすぎて非行に走るほうが多い。

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