執筆者:水口貴博

子どもがすくすく成長する30のしつけ

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しつけは弱くても問題ない。むしろ、しつけが厳しすぎて非行に走るほうが多い。

しつけは弱くても問題ない。むしろ、しつけが厳しすぎて非行に走るほうが多い。 | 子どもがすくすく成長する30のしつけ

最後にお話ししたいのは、少々ショッキングな内容です。

「しつけ」というテーマですから、本当は最初に話をしようかと思いましたが、あえて最後に持ってきました。

しつけをしすぎる弊害についてです。

私がアメリカ留学をしていたときのことです。

Mさんという20代後半の男性と知り合う機会がありました。

一緒に食事に行ったり、ドライブへ連れて行ってもらったりして、だんだん親しく話をするようになりました。

最初は普通の男性という印象でしたが、しばらくすると、少し変なところが目につくようになりました。

一緒に歩いていると、Mさんの行動が少し変です。

買い物に一緒に行って駐車場で車を止めた後、鍵をかけ忘れていない車がないか、ドアをチェックしています。

明らかに怪しい。

部屋を物色しようとする泥棒のようです。

「ドアが開いていたら、何か盗んでやろうと思って」

信じられないことを口にします。

そういう態度にしろ、話の内容にしろ、彼の人柄があまりよくないと感じ始めてきました。

またある日「日本でどんな仕事していたの」と聞くと「密輸入をしていた。1回40万円くらいだったかな」と言います。

彼の親はどんな人なのか興味が湧き、Mさんに尋ねてみました。

おそらく親からの教育が悪かったのだろうと、それらしい返事を予想していましたが、完全に期待を裏切られました。

「学校の校長先生をやっている」といいます。

「ええ? なぜ? 何があったの?」

驚いた勢いから、続けて質問を飛ばしました。

校長先生ともなれば、むしろ品行方正の整った人に育てられるような気がします。

「親からのしつけがあまりに厳しくて絶えられなかった。体罰もたくさん受けた。それである日、爆発したんだ」

親が厳しい教育者であったがゆえに、逆に子どもは非行へと走ってしまいました。

実は、こうしたケースは彼だけではありませんでした。

留学と言えば、育ちのいいお金持ちが行くという華やかなイメージがありますが、一概にそうとも限らない。

あまり詳しくは書けませんが、彼に近いケースを数多く目にしてきました。

親からの教育が厳しくて日本から逃げるように海外へきた人は、多くいました。

親からのしつけが弱くて、非行に走る子は少ないです。

親からしつけが少なくても、それなりに子どもは育ちます。

身近にいる友人や先生などを参考にして、自分なりに学んで成長していきます。

むしろ、逆の場合のほうが多い。

親からのしつけが厳しすぎてストレスがたまり、ある日、爆発させるかのように非行に走ってしまうというパターンです。

ある日を境に、完全に親の言うことを聞かなくなり、非行に走ってしまうようになる。

特に、しつけが厳しすぎたり、体罰などをする親に育てられたりした子は、そういう傾向が強いです。

政治家の息子が非行に走ったり、大物芸能人の息子が大麻で逮捕されたりなどは、そういうたぐいです。

親から、がちがちの型にはめられた生活が窮屈になり、ある日不満を爆発させます。

これが難しいところです。

完全に甘えさせるのもよくありません。

常識や作法も礼儀もなくて社会性を欠いてしまえば、大人になったとき苦労することでしょう。

では、しつけが厳しければいいのかというとそうでもありません。

「厳しすぎるしつけ」の中でも、特に「体罰」はいけません。

大切なことは「しつけをしつつも、厳しすぎないこと」です。

ある程度は許容しながら、ゆっくりのんびりしつけるという微調整が、しつけに最も苦労するところなのです。

子どもがすくすく成長するしつけ(30)
  • しつけをしつつも、厳しすぎないようにする。
まとめ

子どもがすくすく成長する30のしつけ

  1. 自由奔放は教育ではない。
    きちんとしたしつけを施すのが親の努め。
  2. 子どもへのしつけは、常に親が先行する形を取る。
  3. 食べたものは後片付けをさせるよう、しつける。
  4. 「勉強しろ」という親こそ、勉強をする。
  5. 歯磨きの習慣がないと、大人になってから苦労する。
  6. お墓参りの意味を、納得するまできちんと説明する。
  7. 言い訳をしない癖をつけ、反省を促そう。
  8. 整理整頓の基本は、実にシンプル。
    「使い終われば、元の場所に戻す」
  9. 品行方正のある親からは、品行方正のある子が育つ。
  10. 子どもは、親が考えるよりはるかに怯えやすい。
  11. 父と母の教育論は、違っていて当然。
  12. 時には、夫婦喧嘩も必要。
    大切なことはきちんと仲直りすること。
  13. 子どもの前で、夫婦喧嘩をしない。
  14. 子どもは、期待されるほど成績を伸ばす。
  15. 子どもからの難易度の高い質問には「調べて教えてほしい」と答えればいい。
  16. 面倒見のよすぎる親は、子どもから失敗する機会を奪っている。
  17. 意味もなく、子どもにお金を与えない。
  18. 子どもにトイレ掃除をさせると、トイレをきれいに使うようになる。
  19. 喧嘩は、最初に手を出したほうが負け。
  20. 一度のしつけで、素直に言うことを聞く子のほうが珍しい。
  21. 靴とはいえ、侮れない。
    脱いだ靴で、人間性まで判断されてしまう。
  22. できなかった部分より、できた部分を見て褒める。
  23. 10歳になれば、そろそろ子どもへの対応を変える時期。
  24. 子どもにも家族運営に参加させる。
  25. やりたくない習い事は、無理にやらせないほうがいい。
  26. 外国語学習に力を入れるなら、母国語の学習から徹底すること。
  27. 子どもに求めるべきは、速いかより、できるか。
  28. しつけが必要なのは、子どもより、親のほうかもしれない。
  29. 親子の仲とはいえ、閉まっているドアを開けるときにはノックをする。
  30. しつけは弱くても問題ない。
    むしろ、しつけが厳しすぎて非行に走るほうが多い。

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