「江戸っ子は熱い湯を好む」という言葉もあります。
私は銭湯によく通っているので、実際にお客さんがそういう言葉を交わしているのを耳にすることがあります。
江戸っ子は、もともと見栄を張る人が多いので、熱いお風呂に入ることで生きの良さを表現していました。
しかし、無理をして熱いお風呂に入っても、疲れは取れません。
むしろ熱すぎるお風呂は、逆に疲れます。
熱さを我慢することになり、精神的ストレスがかかるからです。
疲れを取るために入ったお風呂で疲れるのは、おかしな話です。
一般的に、38度から40度のぬるま湯に浸かることで、リラックスにつながる副交感神経が優位になります。
41度以上になると、熱すぎるため、覚醒や緊張をもたらす交感神経が優位になります。
寝る前に熱すぎるお風呂に入ってしまうと、交感神経が優位になり、逆に寝つきが悪くなってしまいます。
熱すぎるので、お風呂に浸かる時間も短くなります。
汗をかく前にお風呂からでてしまうのでは、せっかくのお風呂が台無しです。
汗をしっかりかくためには、41度以上の熱い湯に短く浸かるより、38度~40度のぬるま湯に長く浸かることがおすすめです。
体全体が温かくなって血液の循環がよくなり、適度に汗をかくことで疲れが取れることでしょう。
「ぬるくて本当に体が温まるのか」と思うでしょうが、きちんと温まります。
最初の5分くらいは変わりありませんが、およそ10分を過ぎると、急に汗が噴き出し始めます。
これこそ、体の芯から温まった証拠なのです。