好き嫌いは誰もが持つ感覚です。
嫌いなものが1つもない人はいないでしょう。
好き嫌いは自分のことですから「これは食べられる」「これは食べられない」とはっきり区別できるはずです。
そんな食べ物の好き嫌いについて、あるとき面白い矛盾に気づくことがあります。
苦手な食べ物でも、ものによって食べられるものと食べられないものがあります。
「柿は食べられるが、干し柿は食べられない」
「トマトジュースは大好きだけど、トマトは苦手」
「ブドウは食べられるが、レーズンは食べられない」
「ピザのチーズは食べられるが、固形のチーズは食べられない」
「スナック菓子のグリーンピースは食べられるけど、生のグリーンピースは食べられない」
こうした好き嫌いの矛盾に心当たりはありませんか。
自分でもなぜかよくわかりません。
同じ食べ物でも、状態が変わると、味や食感が変わって別物に感じることがあります。
普通に食べられるものであっても、加工や状態によって生理的に受け付けなくなることがある。
たとえ「元は同じ食べ物であっても」です。
自分でもきちんと説明するのが難しく「なんとなく」という感覚です。
同じ食べ物であっても、状態によって、大好きが大嫌いに変わるケースもあるから、ますます不思議です。
自分の中にある矛盾に気づいたら、素直にそれを認め、楽しんでください。
「自分でもわからない」「理由をうまく説明できない」でOK。
自分には不思議な矛盾があるねと面白がればいいのです。
人は、矛盾に満ちた生き物です。
自分に好き嫌いの矛盾があるのなら、ほかの人にも同じことが当てはまります。
ある人が「ピザのチーズは食べられるけど、固形のチーズはダメ」と発言したとします。
「同じものなのにどうして食べられないの!」と厳しい言葉を浴びせないことです。
自分のことを思い出しながら、その矛盾を優しく受け入れ、理解しましょう。
「そうそう、私も似たようなことがあるよ」と共感すればいいのです。
これはこれで「共通の話題」です。
人間関係を深めるコツは共通の話題を見つけることですが「好き嫌いの矛盾」も共通の話題の1つです。
意外とこういう話題で話が盛り上がり、仲が深まるきっかけになることがあります。
私たちは矛盾を抱えた生き物なのですから、他人の好き嫌いの矛盾についても寛大な心で接していくのが正解です。
自分の中にある矛盾は「寛大な心の糧」となります。
自分の中にさえ矛盾があるのですから、世の中にはもっとたくさんの矛盾があります。
自分の中にある矛盾を楽しめるようになれば、世の中の矛盾も楽しめるようになります。