古本屋に行くと、線が引かれた中古本を見かけることがあります。
中古本ですからすでに誰かが読み終わった本です。
前回読んだ人が目立つように線を引いていて、そのまま残っています。
古本屋に行くと、意外と線引きが残っている本をよく見かけるものです。
この線が面白いのです。
線を引くところといえば、重要と感じたところに引くのが一般的です。
自分が線を引かなくても、前回読んだ人が線を引いてくれているので、重要部分がわかりやすくなって助かります。
また「前回この本を読んだ人はここが重要だと思ったのか」と、他人の頭の中をのぞいているような感覚もあって面白く感じます。
意外なところに線が引かれていることも少なくありません。
普通の1文に線が引かれていると「どうしてここに線を引いたのだろう?」とあれこれ想像してしまいます。
「普通の1文だけど、その人の問題意識に触れたのだろう。その人にとって重要な箇所だったのだろう」と面白く感じます。
線引きだけでなく、書き込みのある中古本があることも珍しくありません。
鉛筆やボールペンなどでメモが書かれています。
その本を読んだときの感想やコメントなどが書かれています。
文章は下線以上に具体的なので、ますます面白く感じます。
他人の頭の中をのぞいているように思え、その人の性格や考え方を間接的に知ったような気分になります。
手書きなので生々しく、妙に目立ちます。
きれいな字で書かれていると「教養のある人なのかな」といったイメージが膨らむでしょう。
震えたような字で書かれていると「感動しながら書いたのかな」と思うでしょう。
その人とは見たことも会ったこともありませんが、線引きや書き込みを通して人となりが見えてきます。
中古本という媒体を通して、不思議な出会いをしたような気分になるのです。
中古の本は、新品とは違った味わいがあります。
線引きや書き込みも、コンテンツの1つです。
まっさらな新品の本は、同じものが世の中にいくつもあります。
一方、線引きや書き込みのある中古本は、誰かが一度読んで手書きが追加されているものなので、世界に1冊しかありません。
つまり、世界で唯一のオリジナル本です。
中古本を購入するとき、普通はできるだけきれいな状態の中古本を選ぶことが多いでしょう。
そこに、中古本の新しい楽しみ方があります。
新しい読書の楽しみ方として、わざと線引きや書き込みのある本を選んでみてはいかがでしょうか。
わざと線引きや書き込みのある本も味わい深くて面白い。
線引き・書き込みというオリジナルコンテンツが追加されていてユニークです。
線引きや書き込みのある中古本は使用感が強いため、きれいな中古本より安く買えるはずです。
オリジナルコンテンツが追加されているにもかかわらず逆に安いのですから、考え方によってはお得と言えます。
お財布にも優しいメリットがあってコストパフォーマンスは抜群。
インターネットで中古本を購入するなら、出品者からのコメントに「線引きあり」「書き込みあり」とあるでしょう。
今まできれいな中古本を探していたなら、中古本の新しい楽しみ方として、あえて線引きや書き込みのある本を選んでみましょう。
「どうしてもきれいな中古本でなければいけない」という人は別ですが、本の状態にこだわりがなければ大いに利用価値があります。
中古本はきれいであればあるほどいいと思われがちですが、先入観です。
線引きや書き込みのある中古本も「味わい深い本」です。