執筆者:水口貴博

器の大きい人になる30の方法

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私の人生を変えてくれた中国人講師。

私の人生を変えてくれた中国人講師。 | 器の大きい人になる30の方法

私はアメリカに留学していたころ、中国語を勉強していました。

なぜ中国語を勉強しようと思ったかというと、友人の紹介があったからです。

ある日、友人の洋平と一緒にキャンパスのテラスで食事をしていると、大きな声で手を振る人がいました。

「ヨンピン。ニーハオ(洋平! 元気かい)」

「ヨンピン」というのは、その友人の名前「洋平」の中国語の発音です。

洋平は驚いて、中国語でなんて返事をしていいのか絶句していました。

洋平はリャオ先生の授業の卒業生でした。

先生が名前を覚えてくれていた嬉しさと、突然話しかけられ、中国語が思い浮かばず、言葉に詰まっていました。

私は「温厚な雰囲気の先生だ」と思いました。

底抜けに無邪気な笑顔がすてきな先生でした。

洋平も「あの先生はおすすめだよ。授業がとてもわかりやすい」と勧めてくれました。

そうした経緯で、私はリャオ先生の授業に興味を抱き、中国語を勉強し始めました。

中国語クラスへ行くと、すでに生徒はいっぱいでした。

リャオ先生の評判はすでに学校で広まっていて、自分以外にも受けたがろうとする生徒がたくさんいました。

リャオ先生は、40代後半の男性講師でした。

いつもにこにこしていて、明るい先生でした。

語学の勉強で一番の障害になるのは「恥ずかしさ」です。

語学の授業というのは、言葉にとらわれがちです。

変な発言をしていないか。

間違った文法を使っていないか。

発音がおかしくないか。

語学の勉強をするために来ていますから、恥ずかしがり屋はそういうところでつまずきます。

私も恥ずかしがり屋であり、発言に尻込みをしていた1人でした。

しかし、リャオ先生の授業は違いました。

先生には口癖がありました。

很好ヘンハオ」です。

日本語に訳すと「いいね」「なるほど」という意味です。

先生は、生徒のあらゆる発言でも、まず「ヘンハオ」と言って、肯定します。

先生は「素晴らしい発言をした」という意味ではありません。

「恥ずかしい気持ちを乗り越えてよく発言できたね。その勇気は素晴らしいよ」という意味の「ヘンハオ」です。

そういう意味でヘンハオを言っていると、授業を受けている生徒たちへは自然と伝わります。

先生が必死に生徒たちに教えようとする熱意は、自然と生徒に伝わります。

たどたどしい発言も、間違った発音も、すべて「ヘンハオ」と笑顔で返答してくれます。

すると、嬉しいです。

「間違ってもいいんだ。もっと発言したいな」

イントネーションが違っていたり、間違った使い方をしたりすれば、その都度リャオ先生はにこにこしながら指摘してくれます。

発言する内容そのものを否定するときも、まず「ヘンハオ(なるほど、いいね)」と発言してから「でも」と言って反論します。

「この先生からもっと授業を教わりたい」

そう思わせる授業でした。

だから、リャオ先生の授業はいつも人気でした。

リャオ先生は、私の人生を変えてくれた人です。

人間は、発言を受け入れてもらえると「もっと発言がしたい」という気になります。

先生は、生徒たちに「発言したい」と思わせる授業をする天才でした。

語学の勉強では、生徒に「もっと発言したい」と思わせれば、勝ちです。

生徒たちは、自然とアウトプットしたがり、そのために勉強を積極的にするし、語学力も自然に向上します。

リャオ先生から、およそ2年間、中国語を学びました。

最後には、生徒全員が中国語でプレゼンができるほどになっていました。

これもリャオ先生の「ヘンハオ」のおかげだと思っています。

器の大きい人になる方法(14)
  • あらゆる発言に対して「なるほど」「いいね」を前向きに発言する。
海外旅行に行くことほど、許容範囲を広げるいい勉強はない。

器の大きい人になる30の方法

器の大きい人になる30の方法
  1. 器の大きい人は、怒りを優しさで表現する。
    器の大きい人は、怒りを優しさで表現する。
  2. いらいらして言い返すと、相手と同じレベルになる。
    いらいらして言い返すと、相手と同じレベルになる。
  3. 脳が酸欠状態になると、落ち着いて考える余裕もなくなる。
    脳が酸欠状態になると、落ち着いて考える余裕もなくなる。
  4. 口にする前に深く考え、一度口にした言葉には責任を持つ癖。
    口にする前に深く考え、一度口にした言葉には責任を持つ癖。
  5. 器の大きい人は「笑顔」と「怒り」の両方を自在に操る。
    器の大きい人は「笑顔」と「怒り」の両方を自在に操る。
  6. 器の大きい人は、余裕を味わう。<br>器の小さい人は、ぎりぎりを味わう。
    器の大きい人は、余裕を味わう。
    器の小さい人は、ぎりぎりを味わう。
  7. ささいなことにとらわれすぎず、重大なことに焦点を合わせる。
    ささいなことにとらわれすぎず、重大なことに焦点を合わせる。
  8. 対応に慌てたときこそ、器の大きな理想の人物を思い浮かべる。
    対応に慌てたときこそ、器の大きな理想の人物を思い浮かべる。
  9. いらいらするはずの瞬間に笑顔になると、器の大きさを感じる。
    いらいらするはずの瞬間に笑顔になると、器の大きさを感じる。
  10. どんなに知識や知恵があっても、臨機応変がないと、うまく生きていけない。
    どんなに知識や知恵があっても、臨機応変がないと、うまく生きていけない。
  11. 器の大きい人は、どんな言葉でも一度は受け入れる。
    器の大きい人は、どんな言葉でも一度は受け入れる。
  12. つまらない冗談に笑おうとしない人こそ、つまらない人間だ。
    つまらない冗談に笑おうとしない人こそ、つまらない人間だ。
  13. ユーモアは、楽しく、脳を活性化させる。
    ユーモアは、楽しく、脳を活性化させる。
  14. 私の人生を変えてくれた中国人講師。
    私の人生を変えてくれた中国人講師。
  15. 海外旅行に行くことほど、許容範囲を広げるいい勉強はない。
    海外旅行に行くことほど、許容範囲を広げるいい勉強はない。
  16. 短所は長所として活用し、長所はさらに伸ばせば、最高の自分を発揮できる。
    短所は長所として活用し、長所はさらに伸ばせば、最高の自分を発揮できる。
  17. 痛みを味わうことで、見えてくる解決策がある。
    痛みを味わうことで、見えてくる解決策がある。
  18. 成長とは、背伸びの繰り返しだ。
    成長とは、背伸びの繰り返しだ。
  19. なぜ、大人になるにつれて、涙もろくなるのか。
    なぜ、大人になるにつれて、涙もろくなるのか。
  20. 厳しいコメントを言ってくれる友人を、大事にする。
    厳しいコメントを言ってくれる友人を、大事にする。
  21. 理解できない考え方こそ、興味や好奇心を持って歓迎する。
    理解できない考え方こそ、興味や好奇心を持って歓迎する。
  22. 器の大きい人は、インプットの限界を知っている。
    器の大きい人は、インプットの限界を知っている。
  23. 本当のボランティアは、愛がないとできない。
    本当のボランティアは、愛がないとできない。
  24. 言い訳しながら謝ると、気持ちが半減する。
    言い訳しながら謝ると、気持ちが半減する。
  25. 許せば許すほど、表情は柔らかくなる。
    許せば許すほど、表情は柔らかくなる。
  26. 失敗してもいい。<br>大切なことは前向きに行動すること。
    失敗してもいい。
    大切なことは前向きに行動すること。
  27. 器の小さい人は、人の失敗を笑いの材料にする。<br>器の大きい人は、人の失敗を反省の材料にする。
    器の小さい人は、人の失敗を笑いの材料にする。
    器の大きい人は、人の失敗を反省の材料にする。
  28. 貯金の量は、器の大きさへと変わる。
    貯金の量は、器の大きさへと変わる。
  29. 直線コースより回り道コースのほうが、人生は豊かになる。
    直線コースより回り道コースのほうが、人生は豊かになる。
  30. いらいらしているときこそ、忘れがちな作法を忘れない。
    いらいらしているときこそ、忘れがちな作法を忘れない。

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