アールヌーボーの代表画家といえば、アルフォンス・ミュシャです。
女性に花や流線を組み合わせた華麗なデザインで有名です。
女優サラ・ベルナールを描いたポスター『ジスモンダ』は、誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。
色使いも美しく、見とれてしまうのです。
そんなミュシャが有名になったきっかけとして、おもしろいエピソードがあります。
若いころのミュシャは、まだ無名のイラストレーターで、なかなか芽が出ませんでした。
リトグラフ工房に勤め、挿絵の仕事でほそぼそと生計を立てていました。
そんな彼に転機が訪れたのは、34歳のクリスマスのことです。
工房のスタッフはクリスマス休暇を取っていましたが、真面目なミュシャは、他の人の代わりに仕事をしていました。
そんなとき、大女優サラ・ベルナールが、急遽1月公演のポスターを制作してほしいと工房にやってきました。
期間は1週間しかありません。
ほかのデザイナーはみんな休暇を取っていたので、未経験ながらもミュシャが駆り出されることになったのです。
彼は千載一遇のチャンスに恵まれます。
そこで描いたポスターこそ、かの有名な『ジスモンダ』です。
優美なポスターの出来栄えに、サラは魅了され、大変気に入りました。
その後サラは、ミュシャと専属契約を結ぶことになります。
サラが活躍するたびにミュシャのポスターが発表され、ミュシャのポスターのおかげで、サラもますます注目を集めました。
そうして無名画家から人気画家へと一気に階段を駆け上がっていったのです。
ミュシャはまさに、美術界のシンデレラボーイです。
ミュシャは、誰もが休みたがるクリスマスに仕事をしたことで、チャンスをつかみました。
真面目に仕事をしていたミュシャに、神様がチャンスを与えたのかもしれません。
仕事をしていると、誰もが休みたがる日があるものです。
そんなとき、真面目に仕事をしていると、思わぬチャンスに恵まれるのです。