「もともと私は夜型だから」と言う人がいます。
実際に夜型の人がいるのはたしかです。
DNA解析では、朝型・夜型に関係する遺伝子が見つかっています。
夜のほうが調子が良くて、仕事も勉強も夜のほうスムーズに進む人もいるでしょう。
しかし「もともと私は夜型だから」の「もともと」には要注意です。
もともと夜型だと思っている人にありがちなのは、生活リズムがずれているパターンです。
人には体内時計があります。
日頃から夜更かしを繰り返していると、だんだん生活リズムが崩れていき、調子のいい時間帯が昼から夜にずれてきます。
研究によると、人間の体内時計は、24時間より少し長いことがわかっています。
個人差もありますが「およそ24時間10分」とされています。
地球の自転周期とは少しずれが生じているのです。
もともと朝型の人であっても、油断しているとだんだんリズムが崩れていき、日中から夜中にずれてしまいます。
その結果「夜のほうが調子が良い」と誤解して、自分は夜型であると思い込むことがあるのです。
人は元来、昼型の生活を送っている生き物です。
20万年前ホモサピエンスが誕生したとき、私たちは夜になれば寝て、昼になれば起きて活動する生活を送ってきました。
人類史を振り返ったとき、電球が発明されたのはまだ最近のことです。
エジソンが白熱電球を発明したのは1879年です。
人類が明るい夜を手に入れ、夜にも活動ができるようになったのは、ここ100年あまりのことにすぎません。
もともと夜型と思っているなら、実は生活リズムがずれているだけである可能性があります。
昼夜逆転の生活を送っていると、肥満や病気になりやすいこともわかっていて、軽視できません。
夜勤の多い仕事では、日中に仕事をする人に比べて、さまざまな疾患にかかりやすく、健康リスクが上昇することは有名です。
思い込み・勘違いほど怖いものはありません。
もともと夜型なのか、それとも生活リズムがずれて夜型になっているだけなのか、いま一度チェックしてみてください。
生活リズムを整えれば、実は夜中心より昼中心の生活のほうが快適で、高いパフォーマンスを発揮できる可能性があります。