『日々是好日』という映画があります。
主人公の典子は、20歳の大学生。
そろそろ就職を考えなければいけない時期が近づいているものの、本当にやりたいことが見つかりません。
就職活動の時期が迫るなか、自分の将来が見通せず、うつうつとした大学生活を送っていました。
そんなある日、母から茶道教室を勧められます。
気のない返事をしていましたが、いとこの美智子に「一緒にやろうよ」と誘われ、流されるように通い始めます。
これが典子の運命を変えました。
見たこともない道具に、決まり事が多いお茶の世界。
最初は戸惑いがあったものの、通ううちに茶道の魅力に引き込まれ、定期的に通うようになります。
初心者だった典子は、だんだん茶道の作法が身につきます。
素晴らしい先生との出会いもあって、ますます茶道の世界にのめり込んでいくのです。
典子のすごいところは「とにかく通い続けた」ということです。
茶道教室に通い続けるなか、プライベートではつらい出来事に見舞われます。
就職活動で不採用の通知を受け、落ち込みます。
それでも通います。
恋人との関係がうまくいかず、落ち込みます。
それでも通います。
大切な人が亡くなって、落ち込みます。
それでも通います。
つらい出来事があって落ち込みながらも、典子は茶道教室を辞めることなく、きちんと通い続けるのです。
軽い気持ちで始めた茶道でしたが、いつしか典子にとって生活の中心軸になっていました。
そして先生のもとで茶道を学び続ける歳月のなかで、彼女は人生で大切なことを見つけていく、というお話です。
典子にとって、茶道は「生活の中心軸」として、なくてはならない場になっていました。
同時に「普段の自分を取り戻す場」になっていました。
悲しいことや落ち込むことがあっても、習い事に没頭している間は忘れられます。
自然と気持ちを切り替えられます。
心が整って穏やかな気持ちになれます。
そして生きるエネルギーもチャージされるのです。
これは私たちにも同じことがいえます。
落ち込んだら、習い事を休むのではありません。
落ち込んだときこそ、普段どおり通うのです。
普段と同じことをすることで、普段の自分を取り戻せます。
習い事に没頭することで、リフレッシュができ、心も整って、元気を取り戻せます。
眠れない夜があっても、習い事をしていれば、安心して眠れるようになります。
習い事が生活の中心軸になれば、どんなにつらいことがあっても、また前を向いて歩き出せるのです。