「初めてビジネスクラスに乗ったよ」と嬉しそうに話す人がいました。
今まで飛行機はエコノミークラスしか乗ったことがなかったようで、ついに人生初のビジネスクラスを体験したようです。
「座席が広くて快適だった」「乗り心地も最高だった」「サービスも良かった」と、にこにこしながら話しています。
ところが、その場にいた1人が「ある一言」を発したことで、場の空気が変わりました。
「でもまだファーストクラスには乗ったことがないんでしょ?」と突っ込みを入れるのです。
この一言で、せっかくの雰囲気がぶち壊しです。
初めてビジネスクラスに乗ったのですから、ファーストクラスに乗ったことはあるはずがありません。
その人は今、初めてビジネスクラスに乗ったことを話したいのです。
ちょっと自慢したいのです。
今は「初めてビジネスクラスに乗った」という話で盛り上がっています。
ビジネスクラスに初めて乗った話なので、それで終始すればいいことです。
「でもまだファーストクラスには乗ったことないんでしょ?」と突っ込まれると「まだ乗ったことがない」となります。
「あなたの体験は大したことない。まだ上がありますよ」と言われているような感覚になり、場の空気が悪くなります。
嬉しそうに話す人に余計な水を差さないことです。
これは気づかないうちにやっていることがあります。
嬉しいことや自慢したいことがあって、誰かに話を聞いてもらいたいときがあります。
リッチな体験や非日常的な体験をしたときは、誰かに話を聞いてもらいたいし、ちょっと自慢もしたいもの。
そういうことは誰にでもあります。
「聞いてよ、聞いてよ」と言いたくなるのです。
そんなとき、自分が体験したことより上位の話を持ち出されると、比較されることになり、会話のテンションが下がるのです。
「2級に合格したよ」という話のとき「でもまだ1級は持ってないんでしょ」と言うのも同じです。
「2つ星レストランに行ったよ」という話のとき「でもまだ3つ星レストランには行ったことないんでしょ」と言うのも同じです。
「4つ星のホテルに泊まったよ」という話のとき「でもまだ5つ星のホテルに泊まったことはないんでしょ」と言うのも同じです。
上位の話を持ち出されると、今話していることが低く見えます。
上位の話を出すと、今の話が相対的に低くなります。
やぼな突っ込みはしないのが賢明なのです。
うらやましがるようなリアクションを普通にすればいいのです。
「すごいね」「良かったね」「うらやましいなあ」といったリアクションでOK。
上位があるとしても、その話題には触れません。
相手が出した話題に集中して、一緒に喜んであげるのが一番なのです。