小説の面白さの1つは「伏線」です。
物語の途中にあった、とある出来事の意味が、後になって判明します。
何でもない出来事であっても、実は重大な意味が隠されていることが珍しくありません。
点と点がつながり、線になった瞬間です。
「なるほど。あの出来事にはそういう意味があったのか」と驚き、度肝を抜かれます。
話のつじつまが合うと、何とも言えない快感があります。
物語の後半に、急展開やどんでん返しが待っています。
秀逸な小説は、伏線の張り方が絶妙かつ巧妙で、何度も楽しめます。
伏線のある小説を読みながら、ふとこんなことを思います。
「おや、これは人生にも言えることかも」と。
そうです、人生にも言えることなのです。
人生とは、秀逸な小説です。
あなたは今、ある出来事を経験しているでしょう。
幸せな出来事、不幸な出来事、何でもない出来事。
けが、病気。
金銭問題。
仕事のトラブル。
人間関係のもつれ。
運命的な出会い、悲しい別れ。
特別な出来事だけとは限りません。
特に印象的でもない、普通の出来事もあるでしょう。
それは、伏線です。
今はまだ、その出来事の意味はよくわかりません。
「何だか大変」「なんとなくつらい」と思うくらいでしょう。
「普通」「平凡」「何でもない」と思うこともあるかもしれません。
しかし、無駄な出来事と判断するのはまだ早い。
数年後・数十年後、その出来事の本当の意味がわかります。
過去と現在が結びついて「あの出来事には、そういう意味があったのか」とわかるのです。
点と点がつながって線になり、重要な意味を帯びます。
人生の伏線は、1つとは限りません。
いくつも貼られている可能性があります。
トラブルが起こったら、伏線として受け止め、わくわくしようではありませんか。
その出来事の本当の意味がわかるのは、数年後・数十年後のお楽しみです。