コミュニケーションでは、大きな主語の使い方に注意しましょう。
大きな主語は、トラブルを招きやすいからです。
もちろん大きな主語が禁句というわけではありません。
あくまで「使い方に注意する」という意味です。
どうしても大きな主語を使わなければいけない場面もあるでしょう。
わざと抽象的に言ったりぼかしたりするときは、大きな主語に頼ることがありますが、やはり使い方には注意が必要です。
たとえば、次のような一言があるとします。
「男性は力持ちだよね」
「女性はきゃしゃだよね」
「男性」「女性」という大きな主語でひとくくりにした言い方ですが、違和感があるでしょう。
すべての男性が、豊富に力持ちとは限りません。
男性の中にも体力が乏しく、筋肉に自信のない人もいます。
なよなよした男性もいれば、女性並みに小柄な男性もいます。
すべての女性がきゃしゃとは限りません。
女性の中にも、筋骨隆々でがっちりした体格の人もいます。
男性並みに力持ちだったり身長が高かったりする女性も数多く存在します。
「男性はすべてそうだ」「女性はみんなそうだ」と言わんばかりの表現は、人の感情を刺激しやすい。
型にはめるような言い方は、非難や中傷と誤解されることも少なくありません。
「最近の若者は非常識」「最近の年配者はキレやすい」という一言も注意したほうがいいでしょう。
若者のすべてが非常識とは限りません。
若者の中にも、教養が豊富で礼儀正しい人も大勢います。
年配者のすべてがキレやすいとも限りません。
年配者の中にも、穏やかで器の大きな人もたくさんいます。
主語が大きいと「偏見や固定観念で物事を見ている」と誤解されやすいでしょう。
決め付ける印象が出ると、誤解や反感を生んで、トラブルに発展しやすくなります。
悪気はなくても、聞き手の心を傷つけたりコンプレックスを刺激したりすることもあります。
コミュニケーションに摩擦が生まれ、トラブルを招きやすくなるのです。
こういうときは、オブラートに包んだ言い方がスマートです。
「一般的に男性は力持ち」「女性はきゃしゃな人が多い」といった言い方なら、納得しやすくなります。
「若者の中には非常識な人もいる」「キレやすい年配者が目立ち始めている」など、例外を含んだ言い方も悪くありません。
言葉のキレは少し悪くなりますが、誤解やすれ違いを防ぎやすくなります。
大きな主語を使いつつも、使い方には注意しましょう。
ちょっとした言い方の違いで、聞きやすさが向上します。