「シュー、シュー」
ある日、私の職場で、不思議な音を耳にしました。
何かと思って振り向くと、同僚の男性が消臭スプレーを使っている音でした。
脱いだ靴のにおいを抑えるため、消臭スプレーでにおいを抑えようとしていたのです。
それを見て、私は、違和感がありました。
不快なにおいを抑える行為であるのは、わかります。
しかし、職場のような、多くの人の目につくところで使っていると「私は体臭がひどいです」と、公言する様子に見えたのです。
においを抑えようとする行為によって、かえって自分の体臭を強調しているように思えました。
スプレーの「シュー、シュー」という音を聞くと、においを撒き散らす嫌がらせのようにも、思えました。
彼の使っている消臭スプレーは、柑橘系のにおいがするものでした。
スプレーをした後、職場に柑橘のにおいが漂います。
「いい香りだ」と感じる人もいるでしょうが「悪臭だ」と感じる人もいるでしょう。
本人は決して悪気がなくても、そうした誤解やトラブルを生みやすいのです。
行為といい、音といい、においといい、人前でするものではありません。
脇の下の汗を、人前で堂々と拭き取る光景にも、心理的な抵抗があります。
きれいな女性が、大胆に脇を上げ、ウェットティッシュを脇の下でもぞもぞしている姿は、上品とは言えません。
目のやり場に困るのです。
身だしなみを整えるときは、人前を避けることが大切です。
あらゆるデオドラントに言えることです。
許せるのは、額から流れる汗をハンカチで拭くまでです。
それ以上の身だしなみは、人目の付かないところで、こっそり使いましょう。
そのために化粧室や更衣室が、あるのです。