執筆者:水口貴博

和食の30の食事マナー

11

「食べ方は個人の自由」自由と思えるこの言葉には、思わぬ危険が含まれている。

「食べ方は個人の自由」自由と思えるこの言葉には、思わぬ危険が含まれている。 | 和食の30の食事マナー

「食べ方は個人の自由だ」

「食べ方を、他人からとやかく言われたくはない」

「好きな食べ方をさせてほしい」

ときどき食事マナーに関して、こうした意見を持つ人がいます。

言い分はわかります。

食事の味の感じ方は、人それぞれです。

食べ方くらいは、自分の好きなように食べたいと思います。

しかし、それではマナーの意味がなくなります。

何でも許容してしまうと、マナー違反が、さらなるマナー違反を呼びます。

たとえば、自分がおいしいと思えば、それで良しと考えてみましょう。

和食には「醤油しょうゆにわさびを溶かさない」というマナーがあります。

それくらい、いいだろうと思います。

しかし、1つ例外ができれば、2つも3つも同じだと考えるようになります。

さらに気持ちが緩み始め、マナー違反の連鎖が始まります。

食べ方は個人の自由だからと言って、わさびをお茶に入れる。

ご飯に、醤油を直接かける。

味噌みそ汁に、ご飯を入れる。

その結果、野生動物が食い散らかしたかのような見苦しい状態になるのです。

何でも許された状態に、美しさはありません。

自由であるほど、見苦しさが出てきます。

たしかに個人の好みは大切ですが、何でも許容してしまうと、一転して見苦しい状態になるのです。

マナーとは、周りに迷惑をかけず、おいしく食べるためのルールです。

「食べ方は個人の自由」ではありますが、自由すぎる状態は、勧められません。

たしかに自分がおいしいと思えばそれでいいかもしれませんが、限度があります。

最低限、越えてはいけない一線があります。

その超えてはいけない一線が、マナーなのです。

和食の食事マナー(11)
  • 自由な食べ方の中にも、越えてはいけない一線を守る。
季節によって会席料理のメニューが変わる大切な意味とは。

和食の30の食事マナー

  1. 日本人の手先の器用さは、箸の文化が作った。
  2. 和食マナーの最大のポイントは、箸の使い方。
  3. 箸先は、その人の育ちや教養が垣間見える部分。
  4. 箸使いの美しさは、箸を取るときから始まっている。
  5. 前かがみになり、自分から食器に口を近づけて食べるのはマナー違反。
  6. 和食では、原則としてハンカチは使わず、懐紙を使う。
  7. 懐紙を使う、主な3つの場面。
  8. せっかく汚れを隠すために懐紙を使っても、その場に残していくのは意味がない。
  9. 懐紙は、普段はメモ用紙として持参すれば、邪魔にはならない。
  10. 割り箸は、左右に割るのではなく、上下に割るのが正しいマナー。
  11. 「食べ方は個人の自由」自由と思えるこの言葉には、思わぬ危険が含まれている。
  12. 季節によって会席料理のメニューが変わる大切な意味とは。
  13. 蓋付きの吸い物は、できるだけ早めに手をつける。
  14. 吸い物の蓋が開けにくいときの上手な対処法。
  15. 吸い物の貝が問題だ。
    さて、どう食べる?
  16. 吸い物の蓋を開けたときの水滴。
    あなたはどうしていますか。
  17. ご飯を口に含めたまま香の物を食べるのはいいが、吸い物をいただくのはよくない。
  18. 器を移動させるときの2つの注意点。
  19. 取った蓋は、盆の外に置くのがポイント。
  20. 箸を持ったまま、片手で器を持ち上げない。
  21. 手に持ってよい器。
    手に持ってはいけない器。
  22. 魚の骨の間から、身をつままない。
  23. 刺し身を食べるとき、醤油にわさびを混ぜるのは、控えたい食べ方。
  24. ご飯をおかわりするときのマナー。
  25. 食事中、箸を休めるときのルール。
  26. 使い終わった箸のマナー。
  27. つまようじは、使い方に注意が必要。
  28. 食べ終わった器を重ねない。
  29. おしぼりは、手を拭くためのもの。
    それ以外の用途で使わない。
  30. 食べ残しは、料理人への改善のメッセージになる。

同じカテゴリーの作品

2:26

関連記事

© HAPPY LIFESTYLE CORPORATION