公開日:2010年12月7日
執筆者:水口貴博

和食の30の食事マナー

  • 日本人の手先の器用さは、
    箸の文化が作った。
和食の30の食事マナー

日本人の手先の器用さは、箸の文化が作った。

西洋料理では「ナイフとフォーク」を使って食べますが、和食では「箸」を使います。
もちろん個人差はありますが、一般的に、箸を使うほうが難易度が高いように思えます。
たった2本の棒です。

日本人の手先の器用さは、箸の文化が作った。

和食マナーの最大のポイントは、箸の使い方。

「日本料理で一番大切なマナーは何ですか」
そう聞かれれば、私は「箸の使い方」と即答します。
西洋料理はナイフとフォークの使い方が鍵を握るように、和食では箸の使い方が鍵を握ります。

和食マナーの最大のポイントは、箸の使い方。

箸先は、その人の育ちや教養が垣間見える部分。

箸は、和食の基本です。
箸の使い方は、和食マナーの善しあしと、大いに関係があります。
実は、和食マナーの大半は、箸の使い方が占めています。

箸先は、その人の育ちや教養が垣間見える部分。

箸使いの美しさは、箸を取るときから始まっている。

2本の棒である箸を取るとき、どうしていますか。
箸使いの美しさは、取る瞬間から始まっています。
単に箸を取ればいいだけだろうと思うのですが、どうでしょうか。

箸使いの美しさは、箸を取るときから始まっている。

前かがみになり、自分から食器に口を近づけて食べるのはマナー違反。

和食には、手で持ち上げてはいけない器があります。
そうした器から口へ食事を運ぼうとする際、こぼれ落ちないように、つい前かがみになってしまいそうになります。
しかし、この食べ方はマナー違反です。

前かがみになり、自分から食器に口を近づけて食べるのはマナー違反。

和食では、原則としてハンカチは使わず、懐紙を使う。

日本料理では、基本的にハンカチを使いません。
そもそもハンカチは西洋のものです。
もちろんハンカチを持参してもいいですが、会席料理の場合、基本的に使いません。

和食では、原則としてハンカチは使わず、懐紙を使う。

懐紙を使う、主な3つの場面。

懐紙は、食事中、さまざまな場面で使います。
初めは面倒だと思いますが、慣れてくれば、大変便利な物です。
「どういうときに懐紙を使うべきなのか」

懐紙を使う、主な3つの場面。

せっかく汚れを隠すために懐紙を使っても、その場に残していくのは意味がない。

懐紙は使い方もさることながら、使い終わった後も大切です。
懐紙は、食事中の汚れを拭いたり隠したりするために使います。
使い終わった懐紙はごみになるわけですから、その場に置いて帰りたくなります。

せっかく汚れを隠すために懐紙を使っても、その場に残していくのは意味がない。

懐紙は、普段はメモ用紙として持参すれば、邪魔にはならない。

「日本料理は、懐紙を持参するのが面倒」
これは、私が率直に思った感想です。
日本料理ではナプキンは登場しません。

懐紙は、普段はメモ用紙として持参すれば、邪魔にはならない。

割り箸は、左右に割るのではなく、上下に割るのが正しいマナー。

割り箸を割るときにも、マナーがあります。
普通に割ろうとすると、左右に手がありますから、横に向けて割ろうとする人もいるのではないでしょうか。
たしかに左右に割るほうが引っ張りやすく、力が入りやすいです。

割り箸は、左右に割るのではなく、上下に割るのが正しいマナー。

「食べ方は個人の自由」
自由と思えるこの言葉には、思わぬ危険が含まれている。

「食べ方は個人の自由だ」
「食べ方を、他人からとやかく言われたくはない」
「好きな食べ方をさせてほしい」

「食べ方は個人の自由」自由と思えるこの言葉には、思わぬ危険が含まれている。

季節によって会席料理のメニューが変わる大切な意味とは。

会席料理は、季節によってメニューが大きく変わります。
「一汁三菜」という基本は変わりません。
何が変わるのかというと「使われる食材」が大幅に変わるのです。

季節によって会席料理のメニューが変わる大切な意味とは。

蓋付きの吸い物は、できるだけ早めに手をつける。

和食では、お味噌みそ汁など「吸い物」が頻繁に登場します。
特にあらたまった和食の場となれば「蓋付き」の吸い物が一般的です。
ここで1つ注意したいことがあります。

蓋付きの吸い物は、できるだけ早めに手をつける。

吸い物の蓋が開けにくいときの上手な対処法。

蓋付きの吸い物は、時間が経って冷えてしまうと、わんに蓋が密着して開けにくくなります。
早めに手をつけていれば、こういうことにはならないのですが、状況によります。
すぐ開けようとしても、何らかの状況で、すでに開けにくい場合があるのです。

吸い物の蓋が開けにくいときの上手な対処法。

吸い物の貝が問題だ。さて、どう食べる?

吸い物の中には具があります。
どれも簡単に口にできる具ばかりといいたいところですが、1つ、食べ方に大変困る具があります。
貝類です。

吸い物の貝が問題だ。さて、どう食べる?

吸い物の蓋を開けたときの水滴。
あなたはどうしていますか。

蓋を開けた後、よくやってしまうのは、水滴を取る動作です。
蓋を振って水滴を取る動作をした経験は、一度はあるのではないでしょうか。
しかし、無理に蓋を振って水滴を取るしぐさは、少し慌ただしく見えます。

吸い物の蓋を開けたときの水滴。あなたはどうしていますか。

ご飯を口に含めたまま香の物を食べるのはいいが、吸い物をいただくのはよくない。

和食では、ご飯と吸い物が出てきます。
ご飯を食べながら、吸い物をいただく人も多いのではないでしょうか。
一緒に食べたほうがおいしいと感じますが、気をつけたい点はここです。

ご飯を口に含めたまま香の物を食べるのはいいが、吸い物をいただくのはよくない。

器を移動させるときの2つの注意点。

器を移動させるときには、注意したいことが2つあります。
(1)箸を使って、器を移動させない
箸の先を使って器を移動させるのは、マナー違反です。

器を移動させるときの2つの注意点。

取った蓋は、盆の外に置くのがポイント。

格式ある日本料理では、蓋付きの吸い物が頻繁に登場します。
蓋を外すときにはルールがあります。
基本的に取った蓋は、裏返しにして盆の外に置きます。

取った蓋は、盆の外に置くのがポイント。

箸を持ったまま、片手で器を持ち上げない。

箸と器には、持ち上げる順番があります。
右手に箸を持っていると、つい左手で器を持ち上げたくなります。
しかし、これはよくないマナーです。

箸を持ったまま、片手で器を持ち上げない。

手に持ってよい器。
手に持ってはいけない器。

和食には「手に持ってよい器」と「手に持ってはいけない器」があります。
見た目もそっくりな器。
明確に区別されているので、あらかじめしっかり覚えておきましょう。

手に持ってよい器。手に持ってはいけない器。

魚の骨の間から、身をつままない。

魚をいただくとき、やってしまいやすいマナー違反があります。
魚の上身をすべて食べ終えると、骨がむき出しの状態になります。
骨と骨との間に隙間があり、その隙間から魚の裏側の身をつまもうとするケースです。

魚の骨の間から、身をつままない。

刺し身を食べるとき、醤油しょうゆにわさびを混ぜるのは、控えたい食べ方。

刺し身に、直接醤油をかけるのはマナー違反です。
直接醤油をかけると、必要量が調整しにくくなるからです。
マナーとしては、小皿に醤油を入れ、刺し身をつけて食べます。

刺し身を食べるとき、醤油にわさびを混ぜるのは、控えたい食べ方。

ご飯をおかわりするときのマナー。

日本料理では、基本的にご飯のおかわりは自由です。
好きなだけ食べられます。
ただし、おかわりをするとき、守りたいマナーがあります。

ご飯をおかわりするときのマナー。

食事中、箸を休めるときのルール。

食事中に、箸を休めたいときがあります。
箸置きがあれば困らないのですが、問題なのは、箸置きがない場合です。
多くあります。

食事中、箸を休めるときのルール。

使い終わった箸のマナー。

使い終わった箸にも、マナーがあります。
まず「普通の箸」と「割り箸」の場合で少し異なります。
・割り箸の場合

使い終わった箸のマナー。

つまようじは、使い方に注意が必要。

和食の席では、テーブルにつまようじが用意されていることがあります。
食後、歯の間に挟まった料理の食べかすが気になり、その際に使うものです。
歯に食べかすが残ったままでは、自分が不快になるだけでなく、笑ったときに相手に食べかすが見えてしまいますね。

つまようじは、使い方に注意が必要。

食べ終わった器を重ねない。

食べ終わった器は、きれいに片付けるつもりで、器を重ねる人がいます。
片付ける人の手間を考えると、器を重ねたほうがよいのではないかと思います。
しかし、これはやってはいけないマナーです。

食べ終わった器を重ねない。

おしぼりは、手を拭くためのもの。
それ以外の用途で使わない。

和食では食事前、一般的に「おしぼり」が登場します。
冷たい水や温かい湯で湿して絞った、小型のタオルです。
食事前、手の汚れを落とすため、用意されています。

おしぼりは、手を拭くためのもの。それ以外の用途で使わない。

食べ残しは、料理人への改善のメッセージになる。

出された食事はすべて食べきるのがマナーではありますね。
残らずきれいに食べ終わった器は「大変おいしい料理でした」というメッセージです。
きれいに食べきる。

食べ残しは、料理人への改善のメッセージになる。

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