人生の教科書



食事マナー

和食の
30の食事マナー

  • 日本人の手先の器用さは、
    箸の文化が作った。
和食の30の食事マナー

もくじ

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日本人の手先の器用さは、箸の文化が作った。

西洋料理では「ナイフとフォーク」を使って食べますが、和食では「箸」を使います。 もちろん個人差はありますが、一般的に、箸を使うほうが難易度が高いように思えます。 たった2本の棒です。 この2本の棒だけで、切ったりつまんだりするわけです。 使いこなすには、ある程度の器用さが必要です。 日本人とはいえ、子供が箸を使いこなせるようになるまでには、時間がかかります。 良くも悪くも、この箸の文化が、日本に大きな利益をもたらしました。 日本は、技術大国と言われます。 小さな精密機械を作ったり、布に細かい縫いとりを施したりなど、小さなことを手際よく処理するのにたけています。 日本人は小さなことに気を使いやすく、注意を払う性格の人が多いです。 それは、箸を使う文化が影響しています。 日本人にはごく当たり前の箸ですが、知らずのうちに手先を器用にする運動性の向上に貢献しています。 その結果、日本人は手先の器用さが要求される仕事が得意になり、技術大国になりました。 箸を使うのは面倒だと思いますが、その裏に隠された恩恵に気づきましょう。 その使いにくさが、いつの間にかあなたに恩恵をもたらしているのです。 箸を使えば使うほど、面倒さが恩恵に転化されるのです。 箸を使う意外な恩恵に気づく。

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和食マナーの最大のポイントは、箸の使い方。

「日本料理で一番大切なマナーは何ですか」 そう聞かれれば、私は「箸の使い方」と即答します。 西洋料理はナイフとフォークの使い方が鍵を握るように、和食では箸の使い方が鍵を握ります。 和食にはさまざまな料理の種類があります。 もちろんそれぞれの和食に合った食べ方のマナーもありますが、和食は基本的に箸を使います。 「箸の使い方」こそ、最初に覚えるべきマナーであり、なおかつ最も大切なポイントなのです。 「和食マナー=箸の使い方」と言っても過言ではありません。 和食マナーで覚えなければいけないマナーの大半は、実のところ、箸の使い方なのです。 和食は、箸に始まり、箸に終わります。 たった2本の棒ですが、使い方は厳密で奥が深く、きちんと説明しようとすると、1冊の本ができるほどです。 逆に言えば、箸の使い方をきちんと習熟していれば、日本料理のマナーの半分は覚えたと言っても過言ではありません。 下品な食べ方と美しい食べ方の違いは、箸の使い方です。 いかに美しく箸を使うか。 これが和食マナーの最大のポイントなのです。 和食マナーは、箸の使い方に重点を置いて、学んでいく。

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箸先は、その人の育ちや教養が垣間見える部分。

箸は、和食の基本です。 箸の使い方は、和食マナーの善しあしと、大いに関係があります。 実は、和食マナーの大半は、箸の使い方が占めています。 箸の使い方さえ正しければ、和食のマナーの大半をクリアしていると言っても、過言ではありません。 昔、日本では「箸の使い方によって、育ちが分かる」と言われていました。 箸がどれくらい汚れているかによって、その人の育ちや教養などを推し量ったとされていました。 昔は、箸の汚れで許されるのは、箸先から1.5センチまでとされていました。 どきっとする人も多いのではないでしょうか。 もちろん昔の堅苦しい話ですから、さすがにこれをクリアするのは、大変なことです。 しかし、心がけとしては間違っていません。 箸先の汚れを最小限に抑えたい考えは、現代の和食においても同じです。 何気ない箸の使い方に、教養、器用さ、食事への感謝などが表れます。 普段の何でもないしぐさだからこそ、その人の育ちや教養が垣間見える部分なのです。 いかに美しく、いかに上品に食べられるかは、箸の使い方であり、箸の汚れ方しだいです。 さすがに箸先1.5センチは難しいですが、3センチまでなら、挑戦できる目安ではないでしょうか。 このことを心がけ始めると、なかなかよい効果を生み出します。 「箸ができるだけ汚れないように」というのは、抽象的ですね。 一方「汚していいのは、箸先3センチまで」という指示は、具体的です。 自分が手にする箸先の汚れ具合によって、客観的な判断がしやすくなります。 実際、普段のあなたはいかがでしょうか。 食事をする際、箸の汚れ方を振り返ってみましょう。 このことに気づけば、今からでも、改善は十分に間に合うのです。 箸の汚れ方は、箸先3センチまでになるよう心がける。

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箸使いの美しさは、箸を取るときから始まっている。

2本の棒である箸を取るとき、どうしていますか。 箸使いの美しさは、取る瞬間から始まっています。 単に箸を取ればいいだけだろうと思うのですが、どうでしょうか。 試しにやってみましょう。 片手だけで箸を取ろうとすると、なかなか苦労します。 片手で箸を使うとはいえ、箸を取るときも片手だけではいけません。 箸を取るときは両手を使い、正しいとされる取り方の手順も決まっています。 (ステップ1)右手で、箸の中央をつかむ 右手で、箸の中央を持ちます。 (ステップ2)左手で、箸を受ける 右手で箸を浮かせた後、左手で箸の下を受けます。 左手の指は揃えたほうが、より上品に見えます。 (ステップ3)右手を、箸の右端まで滑らせて、持ち返る 左手で箸の下を受けた後、箸の中央部分で持っていた右手を、箸の右端まで滑らせます。 滑らせるしぐさはとても美しく見えます。 右端で、箸の上から下へとUターンする形で持ち返ると、ちょうど箸を持つ手の形になります。 箸の上手な取り方をマスターする。

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前かがみになり、自分から食器に口を近づけて食べるのはマナー違反。

和食には、手で持ち上げてはいけない器があります。 そうした器から口へ食事を運ぼうとする際、こぼれ落ちないように、つい前かがみになってしまいそうになります。 しかし、この食べ方はマナー違反です。 これは「犬食い」と呼ばれます。 犬のような食べ方をしているように見えるため、よくない食べ方とされています。 自然と腰が曲がってしまいますね。 自分としては食事がこぼれないように前かがみになっているつもりですが、そばで見ていると、見苦しく感じるのです。 同じ箸を使う中華の場合は許容されるのですが、和食の場合ではタブーの1つです。 持ち上げてもよい小皿の場合は、口元まで運び、前かがみにならないようにします。 持ち上げてはいけない器の場合は、受け皿として懐紙を使いながら食べるようにしましょう。 前かがみにならないように、食べる。

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和食では、原則としてハンカチは使わず、懐紙を使う。

日本料理では、基本的にハンカチを使いません。 そもそもハンカチは西洋のものです。 もちろんハンカチを持参してもいいですが、会席料理の場合、基本的に使いません。 ナプキンも置かれていません。 では、食事中の汚れはどう拭けばいいのでしょうか。 和食の場では「懐紙(かいし)」を使うのがマナーです。 懐紙とは、指先の汚れをぬぐうために使う和紙のことです。 なかなか見慣れない物ではないでしょうか。 だからこそ、懐紙がきちんと準備できていると、同席者からは「この人はきちんとマナーをわきまえているな」と一目置かれます。 本格的な和食に向かう際は、ぜひ手持ちのカバンやバッグの中に入れておきましょう。 日本料理店に入って席に着いたら、いつでもすぐ使えるようにカバンから取り出して、膝の脇に置きます。 もし、椅子に座るテーブル席なら、膝の上に置くようにします。 本格的な日本料理店に向かう際は、ぜひ「懐紙」を持参していこう。 日本料理では、懐紙を持参する。

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懐紙を使う、主な3つの場面。

懐紙は、食事中、さまざまな場面で使います。 初めは面倒だと思いますが、慣れてくれば、大変便利な物です。 「どういうときに懐紙を使うべきなのか」 食事中に懐紙を使う主な場面が、3つあります。 日本料理のマナーの前提として押さえておきましょう。 (場面1)汚れを拭くとき 食事をしていれば口元が汚れやすくなります。 この場合、懐紙を使って口元を押さえることで、目立たず上品に汚れを拭き取れます。 そのほか、食事中、うっかり汚してしまう場合もあります。 吸い物をこぼしたり、箸から汁がしたたり落ちたり、器などを汚したりなどです。 そうした汚れを拭き取る際も、懐紙が大活躍します。 (場面2)手の汚れを防ぐとき 料理を箸でつかみ口元へ運ぶ途中、こぼれることがあります。 普段の食事なら、手を受け皿の代わりに使ってしまいがちですが、あらたまった和食では懐紙を使います。 懐紙を受け皿の代わりとして使えば、万が一こぼれ落ちたとしても、手の汚れを防げます。 また、焼き魚を食べる際、魚を固定するために手を使おうとする場合がありますが、直接手で触れると指先が汚れます。 懐紙を使えば、手の汚れを防ぐことができるのです。 (場面3)食べ残しを隠すとき 魚を食べると、魚の骨が残ります。 エビの天ぷらなら頭やしっぽなどが残ります。 そうした残しものは、器の隅に寄せて懐紙で覆い隠すのがマナーです。 そのほか、使い終わったつまようじも、懐紙で隠すとエレガントになります。 このように懐紙は、さまざまな場面で活躍します。 必須道具の1つです。 懐紙を使う、主な3つの場面を押さえておく。

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せっかく汚れを隠すために懐紙を使っても、その場に残していくのは意味がない。

懐紙は使い方もさることながら、使い終わった後も大切です。 懐紙は、食事中の汚れを拭いたり隠したりするために使います。 使い終わった懐紙はごみになるわけですから、その場に置いて帰りたくなります。 しかし、盆やテーブルの上に置いたまま退席するのはよくありません。 懐紙は、残り物を覆い隠すときを除いて、持ち帰るのがマナーです。 せっかく懐紙で汚れを美しく拭き取れたとしても、拭き取った汚れを食事の場に残していくのでは意味がありませんね。 日本料理では、美しく退席するのがマナーとされています。 もし身の回りに余裕があれば、食べられない魚の骨やエビのしっぽなども懐紙に包んで持ち帰ります。 「おや。マナーを分かっている人だ」 店の人にマナーを持ち合わせた人だと、感心されるに違いありません。 使い終わった懐紙はカバンの中に入れ、自宅に持ち帰ってから処分しましょう。 ただし、荷物が増えますから、持ち帰るのは余裕がある場合のみで結構です。 状況によって、持ち帰りがどうしても難しい場合には、そのまま置いて帰っても結構です。 心がけたいマナーとして、できるだけ配慮しましょう。 使い終わった懐紙は、その場に残さず、持ち帰る。

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懐紙は、普段はメモ用紙として持参すれば、邪魔にはならない。

「日本料理は、懐紙を持参するのが面倒」 これは、私が率直に思った感想です。 日本料理ではナプキンは登場しません。 基本的にハンカチは使いませんから、懐紙と呼ばれる和紙を別途持参していく必要があります。 最初は、これが面倒でたまらなかったのを覚えています。 ところが、実際持参し始めると、意外な使い方に気づきました。 懐紙は、メモ用紙に使えるのです。 社会人なら、仕事の都合で常に「メモ用紙」を持参していることでしょう。 懐紙をメモ用紙として使えばいいのです。 ビジネスの場ではメモ用紙、食事の際は懐紙。 こうすれば、懐紙1つが、二役を演じることになります。 紙ですから、場所は取りませんし重くもありません。 仕事の関係で、急に日本料理店に行くことになっても慌てることがなくなるのです。 余談ですが、仕事中に懐紙でメモを取っていると、相手から驚かれることがあります。 懐紙を持っていることは、和食のマナーも知っていると連想されやすいためでしょう。 また懐紙は繊細ですから、懐紙をメモ用紙として使うと、丁寧な印象を受けることが多いようです。 本来の懐紙の使い方とは異なりますが、そういう使い方もあるということです。 使い始めてから気づいた、思わぬ効果です。 懐紙をメモ用紙として、普段から持参するようにする。

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割り箸は、左右に割るのではなく、上下に割るのが正しいマナー。

割り箸を割るときにも、マナーがあります。 普通に割ろうとすると、左右に手がありますから、横に向けて割ろうとする人もいるのではないでしょうか。 たしかに左右に割るほうが引っ張りやすく、力が入りやすいです。 しかし、これはよくありません。 力が入りやすいため、勢いで横にいる人にぶつけてしまったり、器にぶつけて料理をこぼしたりすることがあるからです。 正式なマナーは、上下に割ります。 少し力を入れにくいですが、胸元に寄せると、力が入りやすくなります。 こうすれば、引っ張った勢いが強くても、横にいる人や器にぶつけることがなくなります。 割り終わった割り箸は、すぐ使い始めるのではなく、一度箸置きに置きましょう。 割った直後から使い始めると、急いで食事をしようとするしぐさに映り、品がないためです。 マナーは、常に1歩先を考えた配慮です。 トラブルや誤解を招かないように、マナーがあるのです。 割り箸は、左右ではなく、上下に割る。

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「食べ方は個人の自由」自由と思えるこの言葉には、思わぬ危険が含まれている。

「食べ方は個人の自由だ」 「食べ方を、他人からとやかく言われたくはない」 「好きな食べ方をさせてほしい」 ときどき食事マナーに関して、こうした意見を持つ人がいます。 言い分は分かります。 食事の味の感じ方は、人それぞれです。 食べ方くらいは、自分の好きなように食べたいと思います。 しかし、それではマナーの意味がなくなります。 何でも許容してしまうと、マナー違反が、さらなるマナー違反を呼びます。 たとえば、自分がおいしいと思えば、それで良しと考えてみましょう。 和食には「しょうゆにわさびを溶かさない」というマナーがあります。 それくらい、いいだろうと思います。 しかし、1つ例外ができれば、2つも3つも同じだと考えるようになります。 さらに気持ちが緩み始め、マナー違反の連鎖が始まります。 食べ方は個人の自由だからと言って、わさびをお茶に入れる。 ご飯に、しょうゆを直接かける。 みそ汁に、ご飯を入れる。 その結果、野生動物が食い散らかしたかのような見苦しい状態になるのです。 何でも許された状態に、美しさはありません。 自由であるほど、見苦しさが出てきます。 たしかに個人の好みは大切ですが、何でも許容してしまうと、一転して見苦しい状態になるのです。 マナーとは、周りに迷惑をかけず、おいしく食べるためのルールです。 「食べ方は個人の自由」ではありますが、自由すぎる状態は、勧められません。 たしかに自分がおいしいと思えばそれでいいかもしれませんが、限度があります。 最低限、越えてはいけない一線があります。 その超えてはいけない一線が、マナーなのです。 自由な食べ方の中にも、越えてはいけない一線を守る。

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季節によって会席料理のメニューが変わる大切な意味とは。

会席料理は、季節によってメニューが大きく変わります。 「一汁三菜」という基本は変わりません。 何が変わるのかというと「使われる食材」が大幅に変わるのです。 イタリアン、フレンチ、中華においても、食材が変わることは一般的ですが、和食の場合は特に顕著です。 これは、どういう意味でしょうか。 何気なく、食材を変えているように思えますが、大切な意味が込められています。 日本といえば、四季の変化が大きい国です。 春は暖かく、夏は暑く、秋は涼しく、冬は寒い。 世界でも、これほど四季の変化が大きい国は、日本くらいです。 日本の代表的な料理である会席料理には、その季節に合わせた食材を使うのが一般的です。 食事を通して、季節感まで味わってほしい意味が込められています。 また、季節感を目で楽しんでほしい意味もあります。 気づきにくいかもしれませんが、いま一度、食材に目を向けてみましょう。 食材の一つ一つに、意味があります。 春の食材と言えば、イチゴ、メバル、アサリ、フキノトウ、タケノコ、サヤエンドウ。 夏の食材といえば、モモ、アジ、ウニ、カボチャ、キュウリ、エダマメ、スイカ、シシトウガラシ。 秋の食材といえば、ブドウ、イワシ、サンマ、クリ、ナス、マツタケ、ギンナン。 冬の食材といえば、ミカン、リンゴ、ヒラメ、アンコウ、ホウレンソウ、レンコン。 料理を口にしながら、季節感を味わうと、会席料理がよりおいしくいただけます。 季節によってメニューが変わるのは、そういう意味が込められているのです。 会席料理の季節に合わせた食材に、気づく。

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蓋付きの吸い物は、できるだけ早めに手をつける。

和食では、おみそ汁など「吸い物」が頻繁に登場します。 特にあらたまった和食の場となれば「蓋付き」の吸い物が一般的です。 ここで1つ注意したいことがあります。 本来、蓋があるのは、吸い物を冷めにくくするためにあります。 できるだけ温かい状態でいただきたいと思い、いただく直前に蓋を開けようとすると、思わぬトラブルに苦労します。 椀が冷たくなった結果、椀に蓋が密着して、開けにくくなるのです。 無理に開けようとして、中身をこぼしてしまっては大変ですね。 蓋付きの吸い物が出れば、すぐ蓋を開けるのがマナーです。 冷めないようにという気持ちも分かりますが、こぼさないようにする配慮のほうが、さらに大切です。 蓋付きの吸い物は、できるだけ早めにいただく。

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★2

吸い物の蓋が開けにくいときの上手な対処法。

蓋付きの吸い物は、時間が経って冷えてしまうと、椀に蓋が密着して開けにくくなります。 早めに手をつけていれば、こういうことにはならないのですが、状況によります。 すぐ開けようとしても、何らかの状況で、すでに開けにくい場合があるのです。 さて、困りました。 あなたなら、どう対処しますか。 開けにくいとはいえ、無理に力を入れて開けるのは、もちろん厳禁です。 ぱっと開いた瞬間に中身がこぼれて、盆が汚れたり服を汚したりする場合があるからです。 こういうとき、上手な開け方があります。 親指と人差し指で、椀をつまむように力を入れてみましょう。 蓋を真上に開けるのではなく、少し横にずらしながら開けます。 すると、椀と蓋の間に隙間ができ、開けやすくなるのです。 親指と人差し指で椀をつまみ、蓋をずらしながら開ける。

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吸い物の貝が問題だ。
さて、どう食べる?

吸い物の中には具があります。 どれも簡単に口にできる具ばかりといいたいところですが、1つ、食べ方に大変困る具があります。 貝類です。 貝の身を食べるとき、苦労しませんか。 貝の身は、太い貝柱でつながっているため、食べる前に切り離さなくてはなりません。 さすがに口先を使って、貝から身を剥がすのは、あまりに見苦しすぎます。 かと言って、椀の中に箸を入れて貝をいじくり回すのは、手間がかかりますし、椀を倒しやすくなります。 食べたいのに、食べられない。 さて、どうすればいいのでしょうか。 こういうときこそ使えるのが「蓋」です。 吸い物は蓋を開けた後、裏返して、盆の外に置いているはずです。 驚くべきことに、この蓋は小皿代わりに使えます。 椀の中で貝を食べようとするのではなく、一度蓋に移してから食べればいいのです。 これは和食において許容された食べ方であり、マナー違反ではありません。 こうすれば、手が滑っても吸い物を倒すことがなくなりますし、貝から身を剥がしやすくなります。 貝から身を剥がすときは、貝柱の部分を箸で柔らかくほぐすイメージでつまみます。 貝から身が剥がれた後は、手で椀を持ち上げて、口元まで運び食べます。 吸い物を飲み終われば、最後に蓋を元通りに閉めるのがマナーです。 蓋を閉めるとき、残った貝殻は椀の中に移し替えておけばOKです。 吸い物の蓋に貝を移してから、身を剥がす。

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吸い物の蓋を開けたときの水滴。
あなたはどうしていますか。

蓋を開けた後、よくやってしまうのは、水滴を取る動作です。 蓋を振って水滴を取る動作をした経験は、一度はあるのではないでしょうか。 しかし、無理に蓋を振って水滴を取るしぐさは、少し慌ただしく見えます。 落ち着いた和食の場ではふさわしくありません。 誤って、水滴がほかの料理に飛び散ってしまうこともあるでしょう。 蓋についた水滴は、無理に取り除こうとせず、そのままにしておきましょう。 開けた蓋は、盆の右側の外に置くのがルールです。 盆の中に蓋があると、食事の邪魔になりため、盆の外に蓋を置きます。 吸い物は、盆の右側に配置されているはずです。 蓋を裏返して、盆の右の外側に置いておけば、食事の邪魔になりません。 もし、何かのタイミングで水滴が落ちてしまったときは、持参している懐紙を使って拭き取りましょう。 拭き取り方も、左右に滑らせてごしごし拭き取るのではありません。 上から優しく押さえるように拭き取ると、見た目も上品になります。 蓋の水滴を取る動作は、見苦しいため控える。

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ご飯を口に含めたまま香の物を食べるのはいいが、吸い物をいただくのはよくない。

和食では、ご飯と吸い物が出てきます。 ご飯を食べながら、吸い物をいただく人も多いのではないでしょうか。 一緒に食べたほうがおいしいと感じますが、気をつけたい点はここです。 口に料理を含めたまま、吸い物をいただくのはよくありません。 重大なマナー違反ではありませんが、控えたい食べ方です。 口にご飯を含めたまま香の物を食べるのはいいのですが、口にご飯を含めながら吸い物をいただくのはよくありません。 なぜでしょうか。 似たような食べ方ですが、大きな違いがあります。 ご飯は、比較的味が薄いです。 ご飯を口に含めたまま香の物を食べると、ご飯という下地の上に強い香の味わいが広がり、よりおいしくいただけます。 しかし、吸い物の場合は異なります。 ご飯を口に含めながら吸い物をいただくと、流し込むような食べ方になります。 噛む回数が少なくなり、消化しづらく胃や腸に負担をかけてしまうのです。 口にご飯を含めたままの状態では、吸い物だけでなく、お茶や水なども控えるほうが無難です。 水分を口にするときは、単独でいただくようにしましょう。 口に料理を含めたまま、吸い物を飲まないようにする。

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★1

器を移動させるときの2つの注意点。

器を移動させるときには、注意したいことが2つあります。 (1)箸を使って、器を移動させない 箸の先を使って器を移動させるのは、マナー違反です。 不安定で、料理をこぼしたりすることがありますし、引きずることで、器や盆に傷をつけてしまうからです。 また、料理に対して軽んじている姿勢に見受けられます。 (2)器を、盆の上で引きずらない 手で器を移動させるとき、盆の上で引きずるのもよくありません。 器や盆に傷をつけてしまいます。 では、どうすればいいのでしょうか。 「一度箸を置いてから、両手で器を持ち上げて移動させる」 これが正式なマナーです。 両手で持つことでこぼれずに安定しますし、器や盆に傷をつけることがなくなります。 ご飯にせよ、吸い物にせよ、手で持つすべての器類に共通するマナーです。 器を移動させるときには、箸を置いて、両手で持ち上げる。

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★1

取った蓋は、盆の外に置くのがポイント。

格式ある日本料理では、蓋付きの吸い物が頻繁に登場します。 蓋を外すときにはルールがあります。 基本的に取った蓋は、裏返しにして盆の外に置きます。 右側に置かれている器の蓋は右側へ置き、左側の場合は左側へ置きましょう。 なぜ盆の外に置くのでしょうか。 盆の中に置いてしまうと、食事の邪魔になるからです。 料理と関係のないものが手元に置かれていると、食事に集中しにくくなります。 また、大丈夫だろうと思っても、袖が料理にあたって汚れたり、椀を倒してしまったりするからです。 そういうことがないように、あえて盆の外において、手元から離しておくのです。 食事中は、この蓋を小皿の代わりとして使うこともできます。 ただし食事が終われば、きちんと元通りに蓋をしましょう。 取った蓋は、右側に置かれているものは右側へ置き、左側の場合は左側へ置く。

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箸を持ったまま、片手で器を持ち上げない。

箸と器には、持ち上げる順番があります。 右手に箸を持っていると、つい左手で器を持ち上げたくなります。 しかし、これはよくないマナーです。 落ち着きがなく、急いで食べようとするしぐさに映り、品がありません。 「あらゆる器を持ち上げるときは、必ず両手を添える」 これが和食の原則です。 たとえば、ご飯を食べようとしたとき、まず両手で器を持ち上げてから、手に箸を取るようにします。 吸い物の場合も同じです。 美しく上品な姿に映ります。 器を持ち上げるときは、必ず両手を添える。

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★4

手に持ってよい器。
手に持ってはいけない器。

和食には「手に持ってよい器」と「手に持ってはいけない器」があります。 見た目もそっくりな器。 明確に区別されているので、あらかじめしっかり覚えておきましょう。 ▼手に持ってよい器 ・椀 ・小皿 ・小鉢 ・重箱 ・どんぶり ・しょうゆの小皿 ▲ 器を持ち上げる際は、食べこぼしてもいいように、胸元まで引き寄せます。 次に持ってはいけない器を確認しましょう。 ▼手に持ってはいけない器 ・刺し身や焼き魚がのった器 ・揚げ物の器 ・大鉢の皿 ▲ 一般的には、四角い盆にある奥の料理は、持ち上げない器が配置されているはずです。 持ち上げてはいけない料理を口に運ぶ際、こぼれ落ちるのが心配でしたら、懐紙を受け皿の代わりにします。 手を受け皿の代わりにするのはよくありません。 たとえば、魚の身を箸で切り分け口へ運ぶ際、手を受け皿の代わりにするのではなく、懐紙を使いましょう。 「手に持ってよい器」と「手に持ってはいけない器」を覚える。

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魚の骨の間から、身をつままない。

魚をいただくとき、やってしまいやすいマナー違反があります。 魚の上身をすべて食べ終えると、骨がむき出しの状態になります。 骨と骨との間に隙間があり、その隙間から魚の裏側の身をつまもうとするケースです。 基本的に魚を裏返してはいけないので、隙間から、ちびちびと食べていけばいいだろうと思うのです。 気持ちは分かりますが、これはマナー違反です。 身がぼろぼろこぼれやすくなり、そもそも見苦しい食べ方です。 魚の裏側を食べるときは、ひっくり返さず、骨を取ります。 懐紙で魚の頭を抑えながら背骨を取り外します。 骨は器の向こう側に置いてから、魚の裏側の身を食べるようにしましょう。 魚の骨の間から、裏側の身を食べないようにする。

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★4

刺し身を食べるとき、しょうゆにわさびを混ぜるのは、控えたい食べ方。

刺し身に、直接しょうゆをかけるのはマナー違反です。 直接しょうゆをかけると、必要量が調整しにくくなるからです。 マナーとしては、小皿にしょうゆを入れ、刺し身をつけて食べます。 また、しょうゆを入れた小皿にわさびを溶かすようにする人もときどき見かけます。 これはよくない食べ方です。 しょうゆにわさびを溶かしてしまうと、わさび本来の、刺激のある風味が損なわれます。 また、しょうゆに一度わさびを溶かしてしまうと、単にしょうゆだけで刺し身を楽しむこともできなくなってしまう欠点もあります。 そもそも「混ぜる」という行為は、和食ではあまり美しくありません。 口の中で一緒になるのはいいですが、表立って混ぜると美しさが損なわれてしまうのです。 では、どうすればいいのでしょうか。 刺し身の上に、わさびを必要な分だけ乗せます。 そのわさびを挟むように、刺し身を2つ折りにします。 その状態のまま、小皿に入れたしょうゆをつけると、うまく食べられます。 これが正式な食べ方です。 わさびの本来の風味を感じながら食べることができるのです。 しょうゆにわさびを溶かすのは、やめる。

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ご飯をおかわりするときのマナー。

日本料理では、基本的にご飯のおかわりは自由です。 好きなだけ食べられます。 ただし、おかわりをするとき、守りたいマナーがあります。 茶碗の底に一口分だけ残した状態で、おかわりをお願いしましょう。 意外に思われる人も多いことでしょうが、一口分残すのが正式な和食のマナーです。 ご飯を少し残すのは、和食作法では「つなぎ」の意味があるのです。 「まだ食事は終わっていない」という意味が込められています。 人によっては「おかわりをください」という合図を恥ずかしく思ったり面倒と思ったりする人もいるでしょう。 茶碗の底に一口分のご飯を残している状態が「おかわりをお願いしたい」合図になり、わざわざ話しかける手間もなくなるのです。 恥をかかせたり話しかける手間を省いたりする意味もあります。 ただし、食事を終えたときには、茶碗のご飯をきちんとすべて食べきるようにしましょう。 すべて食べきることで「食事が終わりました」という合図になります。 ご飯をおかわりするときは、茶碗の底に一口分だけ残しておく。

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食事中、箸を休めるときのルール。

食事中に、箸を休めたいときがあります。 箸置きがあれば困らないのですが、問題なのは、箸置きがない場合です。 多くあります。 正式な会席料理でも、箸置きが用意されていないことがよくあります。 ここでよくありがちなマナー違反があります。 茶碗などの器の上に置いてしまうことです。 これは多くの人が、ついやってしまうマナー違反です。 茶碗を箸置きの代わりにするのは不作法であり、美しくありません。 では、どうすればいいのでしょうか。 箸の休め方には、2種類あります。 ・盆の左ふちに置く 盆の左ふちに、箸先を出した状態で置きます。 こうすれば、箸先が汚れません。 ・箸置きを作る 自分で箸置きを作るのも、1つの手です。 箸袋で箸置きの作り方には、いくつか種類がありますが、こうしなければいけないという決まりはありません。 最も簡易的なものは、2つ折りにする方法です。 箸袋を2つ折りにすれば、簡易的な箸置きができます。 箸置きがない場合は、盆の左ふちに箸を置くか、箸袋で箸置きを作る。

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★4

使い終わった箸のマナー。

使い終わった箸にも、マナーがあります。 まず「普通の箸」と「割り箸」の場合で少し異なります。 ・割り箸の場合 使い終わった割り箸は、箸袋の中に戻します。 箸袋に戻したら、使い終わったことが分かるように、袋の先を折り曲げておくようにしましょう。 ・箸の場合 懐紙を使って、箸先の汚れをきれいに拭き取ってから元に戻します。 うっかり口を使って汚れを落とすことがないように注意しましょう。 さて、ここで1つ疑問が湧きます。 なぜ、箸先を隠すのでしょうか。 「箸先を隠すこと」に意味があるのです。 割り箸の先には食べ物の汚れがついているため、見苦しい状態です。 この汚れを隠すため、食べ終われば箸袋の中に戻し、汚れを目立たせないようにする意味があります。 美しく食事を終える、という知恵なのです。 割り箸を使い終わったら、箸袋に戻して、袋の先を折り曲げる。

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★1

つまようじは、使い方に注意が必要。

和食の席では、テーブルにつまようじが用意されていることがあります。 食後、歯の間に挟まった料理の食べかすが気になり、その際に使うものです。 歯に食べかすが残ったままでは、自分が不快になるだけでなく、笑ったときに相手に食べかすが見えてしまいますね。 お互いに不快ですから、食べかすを除去するために、つまようじが用意されているのです。 年齢とともに歯茎が痩せて、食べかすが詰まりやすくなります。 年配者ほど、つまようじを使う機会が多いのではないでしょうか。 問題は、つまようじの使い方です。 多くの場合、食後にその場で使い始めるのではないでしょうか。 少し気をつけたい瞬間です。 向かい合って座っている同席者に、歯の間の食べかすが見えてしまい、不愉快になります。 食事が終わって、気持ちのよい雰囲気が一気に興ざめしてしまうのです。 もしデートのときなら、嫌われても仕方ありません。 特に目上の人と同席するあらたまった席では、注意が必要です。 では、どう使えばいいのでしょうか。 もし、歯の間の食べかすが気になるようなら、つまようじを持って席を立ち、化粧室で使うようにしましょう。 身だしなみは、見えないところで整えるのがマナーです。 化粧室は、身だしなみを整える場所としても活用しましょう。 つまようじを持って席を立ち、化粧室で食べかすを取る。

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★2

食べ終わった器を重ねない。

食べ終わった器は、きれいに片付けるつもりで、器を重ねる人がいます。 片付ける人の手間を考えると、器を重ねたほうがよいのではないかと思います。 しかし、これはやってはいけないマナーです。 器は、繊細で傷つきやすいため、重ねるのはよくありません。 気を利かせたつもりで器を重ねる人がいますが、店側からすると、嬉しく思わないでしょう。 器も大切な商売道具です。 蓋が付いている器だけは、蓋を元に戻しますが、そのほかの器に関しては、食べ終わればそのままにしておきましょう。 食べ終わった器は重ねず、そのままにしておく。

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★2

おしぼりは、手を拭くためのもの。
それ以外の用途で使わない。

和食では食事前、一般的に「おしぼり」が登場します。 冷たい水や温かい湯で湿して絞った、小型のタオルです。 食事前、手の汚れを落とすため、用意されています。 しかし、このおしぼりを、手を拭く以外に使うのはマナー違反です。 汗が気になっているからとはいえ顔を拭くのはよくありません。 また、テーブルの汚れをおしぼりで拭き取るのもいけません。 「そうは言っても汗が気になって仕方ない」 どうしても気になるようでしたら、一度お手洗いに向かうことをおすすめします。 お手洗いなら、好きなだけ顔を拭いたりなど身なりを整えることができるはずです。 また、テーブルを汚してしまったときには、懐紙を使うようにします。 もし、食事中にテーブルを汚した場合は、店の人を呼んで、拭いてもらえばいいのです。 おしぼりは、あくまで手を拭くために用意されたものです。 それ以外の用途で使わないようにしましょう。 おしぼりで、顔やテーブルを拭かないようにする。

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食べ残しは、料理人への改善のメッセージになる。

出された食事はすべて食べきるのがマナーではありますね。 残らずきれいに食べ終わった器は「大変おいしい料理でした」というメッセージです。 きれいに食べきる。 しかし、状況によって、必ずしもそうとは言えません。 食べ残すほうがいい、特殊な場合もあります。 たとえば、料理に何らかの不備があった場合です。 料理が口に合わなかった。 焼き具合が悪かった。 ときどき料理に対して、不満を抱くことがあります。 そういうとき、無理に食べる必要はなく、残してかまいません。 むしろ残したほうがいいでしょう。 無理をして食べても、自分が不愉快になるだけです。 残された料理を後から給仕が見ると「おいしくなかったのかな」と思います。 ここがポイントです。 思われるからいいのです。 わざと残すのも、場合によっては必要です。 残すことで料理人に「おいしくなかった。悪い点があった。改善してほしい」というメッセージになるからです。 料理人は、残された食事を見て「何らかの不備があったのではないか」と感じ取り、改善してくれるはずです。 料理に不備があれば、わざと残すのです。 間接的に料理に対するクレームになり、料理人には改善するきっかけになります。 料理に何らかの不備があれば、わざと残す。

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