学校に入学したばかりの小学生は、先生からこう言われます。
「発表するときには小さな声ではいけません。大きな声で発表しましょう」
手を挙げて、みんなの前で発言するときに言われる決まり文句です。
私も小学生のころ、先生からだけでなく、親からも言われました。
幼いころは「教室の奥に座っている人まで声が届くようにするため」という単純な理由だと思っていました。
しかし、自分が社会人となったとき、大きな声で発言する「もう1つの真意」を知ります。
むしろ、この意味のほうが、より重要であることに気づきます。
「自分の発言に責任を持ちなさい」という意味です。
自信がない発言は、小さな声で言葉をごまかせます。
聞こえにくい言葉でとりあえず発言しているふりをして、その場を取り繕います。
しかし、大きな声だと、そうはいきません。
大きな声で発言しようとすると、相手に聞こえやすくなるため、逃げられなくなります。
聞き間違い、いい間違い、言い逃れができなくなります。
逃げない姿勢を作るために「大きな声で発言しなさい」と教えられているのです。
小学生に「逃げてはいけません」と言われても、抽象的で曖昧な説明です。
しかし「大きな声で発言しなさい」と言われると、具体的です。
自分の発言に責任を持つ大切さを、小学生にも実践しやすくわかりやすいように、先生は教えてくれていたのです。
自信のある発言だけでなく、自信がない発言のときにも、大きな声で発言しましょう。
自信がなくても、大きな声で発言することは大切です。
間違っていれば、すぐ反応が返ってくるからです。
「それは違うと思うよ。こうすればいいよ」
間違った発言は反応が返ってくるものですから、自分のためになります。
人のために、自分のためにも、発言するときは大きな声のほうが得をします。
悪いところ、間違っているところをわざわざ指摘してくれるのですから、大きな声で発言したほうが自分の成長のためになるのです。