映画では「記憶を消してもう一度見たい」という作品と出会うことがあります。
これは映画好きならよく口にするセリフです。
一度鑑賞すると、展開や結末を知ってしまいます。
サスペンス映画であれば、犯人を知っています。
工夫された映画であれば、伏線シーンを知っています。
どんでん返しの映画であれば、驚きの結末を知っています。
2回目の鑑賞はすでに展開や結末を知っているため、違った感覚になります。
もちろん映画には「繰り返し見る」という楽しみ方もあります。
2回目以降の鑑賞は、すでに物語や結末をわかっているので、別の視点から見られるでしょう。
1回目では気づかなかった点を発見できる面白さもありますね。
しかし「初めてならでは感動」は、1回目の鑑賞だけです。
さすがに初見ほどの感動は得られません。
そんなとき、もう一度感動を味わいたいので「記憶を消してもう一度見たい」と心の底から思うのです。
記憶を消してもう一度見ることは、本当に不可能なのでしょうか。
いいえ、実は不可能というわけではありません。
「記憶を消してもう一度見たい」を実現する、シンプルな方法があります。
たっぷり長い時間を置くのです。
「1年」「2年」というレベルではありません。
「10年」「20年」というレベルで長い時間を置くのです。
人間は忘れる生き物です。
たっぷり長い時間を置くと、展開も結末も忘れます。
サスペンス映画であれば、犯人を忘れます。
工夫された映画であれば、伏線シーンを忘れます。
どんでん返しの映画であれば、驚きの結末を忘れます。
さすがに20年も時間を置けば、誰でも映画の内容をきれいさっぱり忘れているでしょう。
20年ぶりに映画を見ると、もはや初めて見るのと同じ状態となり、再び新鮮な感動が得られるのです。
とても長い時間を要するのがネックですが、誰でもできるシンプルな方法です。
もちろん20年で足りないなら、30年でもかまいません。
人間の忘れる能力は、意外なところで役立ちます。
「記憶を消してもう一度見たい」という映画は、遠い将来の再鑑賞に向け、チェックリストに入れておきましょう。