「どれがよかったですか」
「どれがおいしかったですか」
何かを食べたり使ったり体験したりしたとき、感想を聞かれることがあります。
このとき、よく聞かれる定番のフレーズがあります。
「全部好き」という一言です。
似たようなパターンとして「どれも好き」「どれもよかった」「すべて素晴らしかった」という答え方も同じと見なします。
分け隔てなく、すべてを肯定する答え方です。
よく聞かれる答え方ですが、注意が必要です。
「全部好きならいいではないか」と思うかもしれませんが、よくありません。
社交辞令に聞こえるからです。
理想的な答え方に思えますが、そうではありません。
お世辞に聞こえます。
表面的な言葉に聞こえます。
完璧な答え方は、かえって嘘のように聞こえます。
当たり障りのない答え方をすると、社交辞令と思われるのがオチです。
「全部好き」という言葉は心に響きません。
印象に残らなければ、ないも同然です。
当たり障りのない答え方をすると、相手の印象に残らないのです。
悪気があろうとなかろうと関係ありません。
悪気はなくても、社交辞令と受け止められやすい現実があります。
もし「全部好き」という答え方に心当たりがあるなら、注意してください。
知らないうちに社交辞令と思われ、不本意な誤解を招いている可能性があります。
「全部好き」は「1つも印象に残っていません」と同じことになります。
つまり「全部好きではない」と同じことです。
「きちんと答えるのが面倒くさい」というニュアンスとして受け止められ、悪い誤解を招くこともあります。
「全部好き」というフレーズは禁句にしましょう。
全肯定は、全否定の裏返しです。
言いたくなっても、ぐっと喉のところで止めておくのが賢明です。
どうすれば相手の印象に残るのか。
具体的に1つ挙げることです。
「ここがいい!」と思ったところを挙げましょう。
特に気に入ったところを1つ挙げれば、社交辞令に聞こえません。
人の心を動かすのは「具体性」です。
具体的に答えるから、本音で語っているように聞こえます。
もちろん嘘ではなく、本当に全部が好きということもあるでしょう。
その場合も、具体的に答える点は同じです。
「どれも好きですが、特にこれが好きです」という言い方をすればいいでしょう。
全部が好きとはいえ、レベルに差があるはずです。
少し好きなところもあれば、大好きなところもあるでしょう。
どれも好きなら、一番好きなところを挙げてください。