感動を生む要素の1つに「ハッピーエンド」があります。
念願の勝利シーン、奇跡の逆転シーン、感動の再会シーンなど、さまざまな種類のハッピーエンドがあります。
アニメやドラマのシリーズといえば、ハッピーエンドで締めくくられるのが定番です。
トラブルがうまく解決して、円満な形で整います。
主人公が幸福な生活を送ることになって終わるものであり「めでたし、めでたし」で締めくくられます。
しかし、ハッピーエンドだからといって感動を生むとは限りません。
たとえば、いきなりハッピーエンドのシーンだけを見たとして、感動するでしょうか。
いいえ、ほとんど感動がないに違いありません。
いくら幸せで円満な終わり方であっても、いきなり最終回だけ見たところで「ふ~ん、よかったね」となるでしょう。
幸せな形で終わっているのはわかっても、ぐっとこみ上げるものがなく、淡々と感じるはずです。
なぜハッピーエンドの最終回だけ見ても、感動できないのか。
物語がないからです。
どれだけハッピーエンドの最終回であっても、物語がないと感動はゼロです。
人を感動させるためには、物語が必要です。
「たくさんのトラブルを乗り越えてきたよね」
「大変なことが多かったけど、ようやく実を結んだね」
「本当に長い道のりだったよね。うんうん、よかった、よかった!」
頭の中でいろいろな場面が走馬灯のように浮かぶから、最終回の実を結んだ場面で、ぐっと心が動かされます。
涙腺が緩んで、気づくとぼろぼろ涙がこぼれ落ちています。
映画『タイタニック』のラストといえば、時計のある階段でローズがジャックと再会するシーンです。
途中の物語を飛ばして、いきなりこのシーンだけ見ても感動しません。
出会いがあり、困難があり、別れがあり、そうした紆余曲折の物語を知ったうえで見るから、どっと大粒の涙が噴き出します。
ハッピーエンドだけこだわるのは愚の骨頂です。
感動を生むためには、ハッピーエンドより、物語に力を入れてください。
ハッピーエンドの感動は、紆余曲折の物語があってこそ生まれます。
ハッピーエンドも大切ですが、物語はもっと大切なのです。