「先入観」という言葉にどんな印象を持っていますか。
一般的に「先入観」という言葉には、悪い印象を持っていることが多いのではないでしょうか。
「先入観で決め付けないでほしい」
「それは単なる先入観です」
「先入観で考えるのはよくない」
たしかに日常で先入観という言葉が使われるのは、ネガティブな場面が目立ちます。
先入観を持ちすぎると、正しい現実が見えなくなり、判断を誤りやすくなります。
また不安や恐怖が必要以上に膨らんで、行動力を妨げることがあります。
できるだけ先入観をなくしたいと考える人も多いのではないでしょうか。
しかし、ここに誤解があります。
先入観の全否定はよくありません。
むしろ一定の先入観は、私たちが生きていくうえでなくてはならないものです。
先入観がないと、勘が働きにくくなったり、危険予知ができなくなったりします。
たとえば、一定の知識は危険の察知に役立ちます。
「浮気は一生治らない」
「暴力を振るう人とは、結婚しないほうがいい」
「ギャンブルにのめり込んでいる人には注意する」
世間でよく聞かれる言葉の一例です。
「それは違う。先入観だよ」と思うかもしれません。
もちろんすべてに当てはまるわけではありませんが、現実として一定の傾向があるのも事実。
失敗した人が忠告する共通点には、何らかの理由があるため、注意して聞く価値があります。
こうした先入観なら、ミスや失敗を防ぎ、健全な人生を導いてくれるでしょう。
絶対正しいと言い切ることはできませんが、あくまで傾向として知ることは役立ちます。
先入観があるからこそ「念のためやめておこう」「とりあえず気をつけよう」という注意喚起が促せます。
先入観の全否定をするのではありません。
肯定しながら上手に利用していくことが大切です。
先入観があるから判断を誤るデメリットがある一方、先入観があるおかげでリスクを回避できるメリットもあります。
「先入観がすべて悪い」と考えるのも、先入観なのです。