子どもは短所があるから、才能が伸びます。
「短所? 長所の間違いではないのか」
いいえ、間違いではありません。
たしかに伸びるといえば長所が思い浮かびますが、そうとも限りません。
長所がさらに伸びるためのエネルギーとして、短所が必要です。
短所とは、いわばコンプレックスです。
ほかの人より出来や評判が悪かったりする部分があると、それを補おうとする力が強くなります。
短所を隠したり補ったりすることで、逆に長所になるというのはよくある話です。
たとえば、生まれつき記憶力が悪い人もいれば、運動神経が鈍い人もいますね。
生まれつき記憶力が悪ければ、成績が伸び悩み、なかなか勉強がはかどらないことでしょう。
一方、生まれつき運動神経が鈍い人は、時間をかけているにもかかわらず、なかなか上達しません。
しかし、それでもいい。
スポーツがダメでコンプレックスなら、せめて勉強で見返してやればいい。
逆に勉強がダメなら、スポーツで見返してやろうという気持ちに変えればいい。
コンプレックスでためたストレスを、別のところで発揮すればいい。
親は子どもの短所に過剰反応する必要はありません。
あらゆるコンプレックスは、反動力へと変わります。
発明家トーマス・エジソンは、周囲の人との協調性がないという弱点があったからこそ、1人で集中できる力を発揮しました。
作曲家ベートーベンは、難聴に悩んでいたからこそ音への執着が強くなり、『第九』のような素晴らしい名曲を生みました。
細菌学者の野口英世は、幼いころ、左手にひどいやけどを負い、コンプレックスになっていました。
いじめられた経験が反動で、勉強で見返してやろうと努力した結果、黄熱病の研究で成果を上げました。
研究の末、黄熱病で亡くなりますが、功績がたたえられます。
ガーナ共和国の2004年11月発行の1000円札に、肖像として採用されています。
苦手な部分やダメな部分があってもいい。
ダメならダメで、他の分野で見返してやろうという力へ変わります。
短所があるからこそ、子どもは伸びるのです。