執筆者:水口貴博

不況を乗り切る経営者の30の心得

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いきなり人を切らない。「ワークシェアリング」と「教育」で乗り切れ!

いきなり人を切らない。「ワークシェアリング」と「教育」で乗り切れ! | 不況を乗り切る経営者の30の心得

不況には、必ず出る言葉は「節約」と「削減」です。

カラー印刷を控えてインク代を節約したり、仕事をしない昼食時は部屋の電気を暗くしたりなど節約を心がけます。

場合によってはボーナスの縮小という話も出ることでしょう。

それだけで終わればまだいい。

次にくるのは「削減」です。

広告費の削減。

運営費の削減。

人の削減です。

一番つらいのは、人を切らなければいけないことです。

人を削減するときの基本は、まず希望退職者の募集です。

辞めたい意志のある人から、先に辞めてもらい、それで不況が乗り切れそうなら問題解決です。

しかし、それでもまだ人の削減が必要である場合、やむなく強行的な削減となります。

これが一番つらいですし悩みどころでもあります。

首を切る側も、切られる側も痛みがあります。

どの企業でも人件費に占める割合は大きく、人を削りたい気持ちは強い。

社員を1人切ったとします。

しかし、実際には、1人ではなく大勢を切ったことになります。

働いている人には、養う家族がいるからです。

1人を切るということは、その家族大勢を同時に切ることになるということです。

食べていけなくなり、貧困生活を送らなければいけなくなります。

1人だけとはいえ、事実は1人ではない。

1人を切るというのは、同時に、その背後にいる大勢の人たちに迷惑をかけることになります。

本当に人を切るのは、最後の最後の手段です。

人を切る前に、ほかの手段から考えてみましょう。

たとえば「ワークシェアリング」はどうでしょうか。

1つの仕事を、複数人で分け合う労働様式をいいます。

残業はなくし、労働時間の短縮など、仕事を多くの人でわかち合うことで、雇用を確保します。

労働時間が減り、給料は少なくなりますが、人を切るよりはましです。

そういう苦しい決断は、労働者もわかってくれることでしょう。

また、不況のときこそ「教育」に力を入れましょう。

生産性の低い人の首を切るのではなく、生産性を上げるための教育を施します。

時間はかかっても、人を大切にするということです。

「ワークシェアリング」と「教育」

人を切る前に、いま一度検討しましょう。

大不況を乗り切る突破口は「ワークシェアリング」と「教育」にあるのです。

不況を乗り切る経営者の心得(29)
  • ワークシェアリングと教育で、できるだけ雇用を確保する。
不況とは、忘れかけていた何かを思い出させてくれる時期。

不況を乗り切る経営者の30の心得

  1. 大不況こそ、企業の害毒を一掃する最高の機会。
  2. 経済を変えようとするのではなく、会社内部を変える。
  3. 過去の成功にしがみついている企業は、一瞬で不況の波に飲み込まれる。
  4. 不況に合わせて事業内容を変えることが、一番の不況対策。
  5. 給料が上がらないのは「期待を超える仕事」をしていないから。
  6. 「国や政府が助けてくれる」という期待は捨てる。
  7. 不況時、本物は生き残り、偽物は消えていく。
  8. 楽をして成長を急ごうとする企業は、不況にもろい。
  9. 時間のかかった成長ほど、不況に強くなる。
  10. 手抜きをしがち見えない部分を、あらためて強化しよう。
  11. 「強い者、頭の良い者が生き残るのではない。
    変化するものが生き残るのだ」
  12. もたもた始める改善は、思ったほど不況対策にはならない。
  13. コンコルドの失敗には、不況を乗り切る教訓が隠されている。
  14. 社員が陰で会社の悪口を言っているところは、倒産しやすい。
  15. いくら不況でも、お客さまへのサービスは手を抜かない。
  16. 不況を乗り切るには、お客さまへのサービスを強化・充実させればいい。
  17. 不況のときこそ、海外旅行へ行け!
  18. 「辞めたい」という社員を、無理に引き止めない。
  19. 不況の突破口は、お客さまからのクレームだった。
  20. 大不況のときこそ、社長は一番元気でいなければいけない。
  21. 頑張った人を表彰するイベントを、定期的に設ける。
  22. 現金をもらって、嬉しくない人はいない。
  23. 「不況」「不景気」という言葉は、禁句にする。
  24. お金に余裕がないとき、判断力は著しく低下する。
  25. 無理な買わせ方で売り上げを伸ばした会社ほど、不況時にあえぐ。
  26. 本当にお客さまの役に立ち、喜ばれている会社に、不況は関係ない。
  27. 調子が悪いときほど「夜遅く」ではなく「朝早く」。
  28. 希望退職者を募集すれば、穏便に人の削減が可能になる。
  29. いきなり人を切らない。
    「ワークシェアリング」と「教育」で乗り切れ!
  30. 不況とは、忘れかけていた何かを思い出させてくれる時期。

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