台風が来たとき、折れる大木と折れない大木があります。
どちらも大きな大木です。
大きさも同じくらい。
しかし、台風のような強い風が吹いたとき、一方は折れて、もう一方はびくともしません。
なぜこうした差ができるのか。
折れる大木は、根が貧弱で、浅いからです。
往々にして人工植樹でよく見かける光景です。
基礎が弱く、本当に強い土台が出来上がっていません。
人工的な薬品などを使って、成長を早めた木は折れやすくなります。
成長を早めた木は、自然災害に弱い。
本来、植物は、土からの栄養を吸収して、土の上の木へと送られます。
根から送られてきた栄養をもとに、茎を伸ばし花を咲かせます。
しかし、人工的な薬品などを使っていると、土から吸収しなくても、栄養を取ることができるようになります。
栄養は取れますが、根の広がりが小さくなります。
人工的な栄養によって、成長は大きくなりますが、成長は土の上だけ。
土の下の根は、貧弱なままです。
土の上と下とは、成長の具合がアンバランスになっています。
それに比べ、自然の大木は折れません。
自然の大木は、土から栄養を吸収して大きくなります。
大きくなるためには、さらに栄養が必要です。
そのとき、根はさらに深く、さらに広く伸びようとします。
その根の深さや広がりは、栄養の吸収力と同時に、力強い土台へと変わっている。
土の下が伸びて、次に土の上が伸びる順がきちんとしています。
月日をかけて、成長した土からの栄養をじっくり吸収し、着実に強い根を生やします。
長い時間をかけることの素晴らしさです。
本当の成長は自然のように時間がかかりますが、台風が来たときにも折れない木ができます。
企業でも同じです。
急いで成長する企業は、不況にもろいです。
取り急ぎ、売り上げアップを急いでいるので、企業としての土台を作る時間がありません。
売り上げがいいからと、レストラン経営で店舗数を増やし、急拡大するケースがあります。
店舗を増やせば、たしかに売り上げも上がることでしょう。
しかし、どこか楽をして、成長を急ごうとする戦略はよくありません。
不況が来たときに一気に裏目に出るからです。
急いで広げたため、すべての店舗に気を配る余裕がなくなります。
さまざまな障害が一気に表面化します。
社員の教育不足。
商品の質の低下。
基礎の部分がおろそかになり、赤字経営になってしまいます。
土台が崩れれば、どんなに大きなピラミッドも崩壊です。
本当に急成長をするなら、それ相応の努力が必要なのです。