不況になれば、コストカットはどこも同じです。
そのコストカットにはしていい部分と、してはいけない部分があります。
まずは社内で使われていない部分や減らしてもいい部分などを見つけて、カットするのは正解です。
しかし、コストカットの矛先を間違えて、お客さまに触れる部分を削ってしまう企業があります。
お客さまが直接目にしたり手にしたりするサービス部分は、削りたくても削ってはいけないところです。
企業イメージが低下するからです。
では、不況を乗り越えるためにどうするか。
来客に対するサービスをやめるのではなく、むしろ増やせばいい。
強化したり、充実したり、拡大させます。
普通に考えれば、減らすところを増やすと、お客さまは驚きます。
「お客を大事にする会社だ」
「資金面で充実しているのだろう」
「なんとサービスが充実しているな。購入してからも、充実したサポートが受けられそう」
「まだまだこの会社は長くやっていきそうだ」
たとえ会社の経営が危うくても、そういう強気の姿勢を見せます。
ささいなことですが、そういうところを来客は感じ取ります。
やはりサービスが拡大、充実していると「景気がいいな」と思います。
そういう勘違いを抱かせるための作戦です。
お客さまからの購入が増えることでしょう。
サービスがいいとお客さま同士の評判がよくなり、口コミも広がりやすくなります。
社内をコストカットする一方で、お客さまが見える部分や触れる部分はいつも以上にお金をかける。
これが不況を乗り切るコツです。
事実、そのやり方で大成功を収めた企業があります。
大手ファストフード店、マクドナルドです。
2009年、100年に一度の大不況といわれる中、マクドナルドは営業時間が24時間の店舗を増やしました。
それだけではなく、無線LANサービスの拡大。
ついには、コーヒーの無料サービスを始めました。
コーヒーが無料です。
手ぶらで行って、コーヒーが飲めます。
「全然儲からないぞ。なぜだろう。でも嬉しい! すごい、すごい!」
結構インパクトがあります。
実際、来客は急増し、事実ファストフード店の中では最も売り上げを伸ばしていきました。
素晴らしい不況対策です。
お客さまが触れる部分は、どんなに不況でもコストカットどころか、お金をかけるのです。